FAQ・用語集コラム

【業界動向】CDPサプライチェーンプログラムとは?

 今月始め、環境省がCDPサプライチェーンプログラムへの参加を表明しました。

同省が平成28年度に委託契約を行った企業などのうち、推計排出量上位100社に対して、CDPを経由して環境への取組に関する質問への回答要請がされる予定とのことです。

(平成31年2月8日環境省報道発表資料)

 

 1月に発行されたCDP Supply Chain Report2018/19によると、CDPサプライチェーンプログラムには、世界で115社・団体がメンバーとして参加しており、115のメンバーのサプライヤーに当たる11,692社・団体に対して、質問への回答要請がされ、5,600社・団体以上から回答があったということです。

日本からは、メンバー企業として、味の素、ブリヂストン、富士通、本田技研工業、花王、三菱自動車、日産自動車、大成建設、トヨタ自動車、JTインターナショナル(日本たばこ産業の海外事業子会社)の10社が参加しています。

メンバーには、米国一般調達局などの公的機関も入っていますが、日本の公的機関としては、今回の環境省が初めてということです。

 

 年々メンバー企業・団体が増え、それに比例して回答要請を受ける企業・団体も増えているCDPサプライチェーンプログラム。

御社に回答要請が来る日もそう遠くないかもしれません。

そこで今回のメルマガでは、CDPサプライチェーンプログラムの概要と、メンバーがプログラムに何を求めているのか、そしてサプライヤーとして回答要請に備えるためにできることは何かについて整理してみたいと思います。

 

 CDPサプライチェーンプログラムは、国際環境NGO「CDP」が運営する環境情報開示プログラムの一つです。

CDPと言えば、CDPが投資家に代わって世界の上位企業に対し環境の取組に関する質問への回答要請を行う「投資家向けスキーム」が知られています。

サプライチェーンプログラムはこのスキームとは異なり、CDPがサプライチェーンプログラムのメンバー企業・団体に代わって、メンバーのサプライヤーに対して回答要請を行う仕組みになっています。

よって、投資家スキームでは上場している大企業が回答要請先の中心になるのに対して、サプライチェーンプログラムでは中小企業や非上場企業でも回答要請先となり得るということになります。

メンバー企業・団体は自社のサプライヤー最大500社までを選定し、サプライヤーリストとしてCDPに提出します。CDPではリストに基づきサプライヤーに対して回答要請を行い、得た回答を集約・分析してメンバー企業・団体に報告します。

 

 サプライチェーンプログラムは気候変動・水・森林の3つの環境分野を網羅したプログラムになっており、メンバー企業・団体にて、このうちのどの分野を対象とするかを選択します。(例:気候変動のみ、気候変動と水、3つ全てなど。)

気候変動については115社のうち113社とほとんどのメンバーが対象としています。(水は42社、森林は12社)

質問の内容は、投資家スキームの各分野の質問に、サプライチェーン質問が追加されたものになっています。

 

気候変動のサプライチェーン質問は、「排出量のアロケーション(自社の排出量を顧客企業ごとに按分)」、「協働機会」、「製品毎の個別データ(製品のライフサイクル排出量など)」などといった項目で構成されています。

気候変動分野においては、近年サプライチェーン全体の排出量を把握し、その削減目標を設定する動きが主流になっています。

そのためには、自社による排出(Scope1,2)だけではなく、サプライチェーン上下流の排出(Scope3)(=サプライヤーの排出)も把握し、削減目標を設定していく必要があり、サプライヤーとの連携が欠かせません。

Scope3を把握するには、1.サプライヤーから自社向けの生産に伴う排出量情報を入手する、2.排出原単位という業界平均のような数値から把握する、の2つの方法があります。前者は現状ではハードルが高く、取組当初は後者の方法で把握するケースが多いです。

しかし、それではサプライヤーにおける削減努力を数値に反映することが難しく、取組が進むにつれ前者を求める傾向にあります。

サプライチェーン質問の「排出量のアロケーション」はまさしくこのニーズに応えるものになっています。

また、梱包の見直し、輸送の効率化など、サプライヤーの協力無しには排出削減が難しい分野も多くあります。質問では排出削減に向けた協働機会の提案を求めるなど、コミュニケーションツールとしても活用されています。

 

 CDP Supply Chain Report2018/19によると、既にメンバー企業・団体のうち43%が環境への取組パフォーマンスをベースにサプライヤーの見直しを行っており、約30%が近い将来実施を検討しているとのこと。サプライヤーにとっては、環境への取組が不十分であると取引先から外されるリスクに曝される一方で、排出量を把握したり、協働による排出削減の提案を行ったりなど積極的な対応ができると、それがビジネスチャンスにつながる可能性もあります。

 

 回答要請に備えるために、今何をしておくべきでしょうか。

気候変動分野においては、まずはScope1,2排出量の把握をお勧めします。

自社の削減努力が反映される部分であり、顧客としても最も知りたい情報の一つと言えます。

但し、燃料や電気の使用量データなどを定期的に収集・管理しておく必要があり、要請を受けた後に始めようとしてもなかなか対応が間に合いません。

 

 今月・来月は、おそらくメンバー企業・団体にてサプライヤーリストの整理が行われている頃ではないかと思います。サプライヤーに回答要請が行くのは4月以降の見込みです。もし御社に回答要請が来たら、ぜひ前向きに取り組んでいただき、ビジネスチャンスにつなげていただければと思います。

 

参考文献:

「CASCADING COMMITMENTS: Driving ambitious action through supply chain engagement CDP Supply Chain Report 2018/19」

 

(執筆者:山本)

(2019年2月27日メルマガ)

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