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GHGプロトコルの全面改訂とScope2の改訂方針のサマリ

 2022年11月から2023年の3月にかけて、GHGプロトコルに対するフィードバックの募集が実施されました。
GHGプロトコルに対してはこれまで課題も指摘されており、今回のフィードバックの結果を踏まえ、改訂方針が検討されるとのことです。
弊社もご支援の中で、解釈に迷う部分や実務上難しいような要件もあり、注視しているところになります。

ここでは、まず先んじて公表されたScope2 Guidanceについて改訂方針ウェビナーの内容をサマリーでご紹介いたします。詳細をお知りになりたい方は、出典からウェビナー動画をご覧ください。

 

<GHGプロトコルの歴史>
GHGプロトコルとは、企業をはじめとした組織単位のGHG排出量算定・報告の国際的なスタンダードとなっている規格です。
最初に、2001年に企業単位の算定基準をまとめたCorporate Standardが公開され、2004年に改訂されました。
2011年には、現在のサプライヤーチェーンを含めたScope123排出量の算定基準となっているScope3 Standardが公開。
続いて、2015年にScope2の算定について詳細に解説したScope2 Guidanceが公開され、現在は、土地利用・炭素除去に係る算定の具体的手法について定めたLand Sector and Removals Guidanceのドラフト版が公開されています。
(和約については、環境省HP参照 排出量算定について – グリーン・バリューチェーンプラットフォーム | 環境省 (env.go.jp))

 

<改訂スケジュール>
・現在、(Q2-3 2023)1400のフィードバックと、230の提案を受けている。
・NGO、アカデミア、ビジネス、政府からの代表者を募り、基準の策定を進めている。
・Scope2ガイダンスのドラフトについては、2024年Q1までに、最終化を2025年までに完了することを目標としている。

 

<論点>
今回の改訂のキーとなる論点について、以下の5つを挙げて説明されています。
①マーケット基準・ロケーション基準の両方での報告を求める、いわゆる「Dual Reporting」を残すか、どちらかひとつに統合するかについて
②データ要件(ロケーション基準とマーケット基準両方)と品質要件(マーケット基準のみ)をどの程度厳しく定めるかについて
③第3のレポート要件=インパクト評価指標(avoided emission)を導入することについて
④新技術に関する追加ガイダンスを作成することについて
⑤ポリシーや規制、自主的な開示プログラムとの整合性を図ることについて

 

【1番について】
マーケット基準、ロケーション基準のどちらかひとつで十分だとする意見の根拠として、主に多くの企業がDual Reportingを遵守していないことが挙げられています。
実際、日本企業の多くは、サステナビリティレポート等でマーケット基準のみを開示し、注釈をつけているケースが見られます。
マーケット係数の取得が難しい地域もあり一概には言いづらいものの、再エネ化のインセンティブを持たせることができるのはマーケット基準だという意見があります。

 

【2番について】
データや品質について、細かな要件を求めるべきか否かの議論が紹介されていました。
細かく定めることのメリットとして、証書のヴィンテージや設備の追加性(新たに再エネ設備を構築する社会的意義)を評価可能という点などが挙げられます。
一方、デメリットとしては、最初から要件を満たせる地域への投資が集中してしまい、公平な投資が妨げられてしまう点などが挙げられています。

 

【3番について】
再エネ等への切り替えによる削減インパクトについて、Scope2の枠組みの中で報告する箇所を設けるべき、という議論がでています。
ただ、課題としては、マージナル排出係数*の整備や、SBTiをはじめとするプログラムとの整合性の確保が指摘されています。
*CO₂削減対策の効果と電気のCO₂排出係数について | 日本ガス協会 (gas.or.jp)

 

【4番について】
追加ガイダンスの策定が要求されたテーマについて紹介されています。
主なテーマとしては、エネルギー貯留技術、グリッドごとの排出係数のさらなる整備、水素利用、などが表中で言及されていました。
そのほかにも、コジェネレーションシステム、廃棄物発電、バイオガスの利用といったテーマについての、ガイダンス策定が検討されているとのことです。

 

【5番について】
既存の政策や規制、ボランタリープログラムとの整合性を考慮すべきとの議論が紹介されています。
今後、CSRDやISSBのほか、EUにおける水素規定を踏まえたものにしていくとのことです。

今後、他のスタンダード/ガイダンスに関する改訂方針も公表される予定で、引き続き注視をしていきます。
脱炭素に貢献する技術が次々と出てくる中で、報告排出量へのインパクトが意思決定に係る場面も出てくると感じており、算定基準の整備・普及は急務です。
GHGプロトコルが国際的な基準としてフロントにあり続けることを期待しています。

出典記事:Survey on Need for GHG Protocol Corporate Standards and Guidance Updates | GHG Protocol
投影資料:https://ghgprotocol.org/sites/default/files/2023-05/Topline Findings from Scope 2 Feedback Webinar_GHG Protocol_05.02.2023.pdf

(執筆者:馬場)

 
 

 

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Scope 3とカーボン・クレジット -企業の気候変動対策における課題と可能性-

 企業の気候変動対策において、Scope 3排出量の削減が重要な課題となっています。一方で、追加的な削減を主張するための手段としてカーボン・クレジットが注目されています。 Scope 3の削減もカーボン・クレジットの活用も「他者の排出削減」という点では共通していますが、両者の位置づけは異なるものです。  本稿では、Scope 3とカーボン・クレジットに焦点を充て、現状課題と今後の展望について考察します。 Scope3排出量の重要性と課題  2024年7月にSBTiが公表したScope 3 discussion paperによると、2023年度末時点で世界の時価総額の39%にのぼる4,205社の企業がSBTiにより目標の検証を受け、または目標のコミットメントをしており、そのうち97%がScope 3目標を掲げています。その一方で、多くの企業がその削減や進捗管理に苦慮している実態があり、Scope 3 discussion paperは、Scope 3の削減や評価について以下のような課題を提起しています。 データの信頼性と入手可能性:多くの企業が二次データや推計値に依存しており、正確な排出量の把握が困難である。 集計された排出量指標の限界:Scope3排出量は15のカテゴリにわたる多様な排出源を単一の指標に集約するため、個別の排出源の特性や時間軸の違いが見えにくくなる。 目標設定方法の限界:現在の目標設定方法は、排出量の絶対値や原単位の線形的な削減を想定しており、バリューチェーンの動的な性質を十分に反映できない。 影響力の程度の考慮不足:現在のアプローチでは、企業が各排出源に対してどの程度の影響力を持っているかが十分に考慮されていない。 進捗状況の測定:進捗状況の測定は、データの制約、排出量の変動性、緩和行動とGHGインベントリの変化を直接結びつけることの難しさなどから複雑である。    これらの課題に対応するため、Scope 3 discussion paperにおいては、新たなアプローチが検討されています。具体的には、排出量だけでなく、調達や収益活動の気候目標との整合性を評価する成果ベースの指標の導入や、気候変動への影響が大きい活動に焦点を当てた目標設定境界の見直しなどが提案されています。 図:Scope 3 discussion paper   カーボン・クレジットの位置づけとScope 3との関連性  カーボン・クレジットは、削減できなかった自社の排出量を相殺したり、追加的な削減に貢献したりするための手段として注目されています。ここで重要なことは、Scope 3は企業のバリューチェーン内の排出であるのに対し、カーボン・クレジットはBeyond Value Chain Mitigation (BVCM)、つまり企業のバリューチェーン外での排出削減や除去の位置づけであるという点です。つまり、両者を混在させず別の枠組みとしてそれぞれ開示することが従来の基本的な考え方であるといえます。  一方で、Voluntary Carbon Markets Integrity Initiative (VCMI)は、この点について柔軟で包括的な方針を示しています。同イニシアチブは、企業がネットゼロ移行過程においてカーボン・クレジットを活用するための行動規範を示しており、その一環として、昨年11月、Scope 3 Flexibility Claimを、今年9月にはその発展形としてScope 3 Claim(ベータ版)を公表しました。これは、スコープ1と2の排出削減に進展があるものの、Scope 3の削減に課題を抱える企業向けに設計された方法論です。具体的には、以下の要件を満たしたうえで、企業がScope 3目標と実績のギャップを埋めるためにカーボン・クレジットを購入・償却することが規定されています。 Scope 3排出削減の障壁と、克服のための行動計画を公開すること Scope 3排出量ギャップの全量以上の高品質な炭素クレジットを償却すること ギャップは24%を超えてはならず、2038年までに段階的に解消すること 科学に基づく短期排出削減目標を設定・公開すること 2050年ネットゼロを公約するとともに、短期目標達成に向けた進捗を示すこと パリ協定の目標を支持する公共政策提言を行うこと カーボン・クレジットの品質基準を満たすこと: VCMIのモニタリング・報告・保証(MRA)フレームワークに従って第三者保証を取得すること Scope 3 Claim(ベータ版)は、現在パブリックコンサルテーション中であり、2025年初頭に最終版が公開される予定です。  また、前述のScope 3 discussion paperにおいては、Scope 3の削減を主張する手段として、トレーサビリティが確保された信頼性の高い「環境属性証明書」を用いることが提案されており、その一つとして、バリューチェーン内で創出されたカーボン・クレジットの可能性が示唆されています。SBTiにおいても、今後これらを含めた検討が進められ、2024年第4四半期末にScope 3の要件に関連する変更を組み込んだ企業ネットゼロ基準の草案が公開される予定です。   まとめ  今回ご紹介したScope 3 discussion paperとScope 3 Claim(ベータ版)との共通点として、Scope 3削減と評価が企業にとって大きな課題であるとともに非常に困難であることが背景にあります。  しかしながら、過度にカーボン・クレジットに依存することで、Scope 3削減への取り組みが阻害されたり、適切な運用がなされないことで見せかけの環境対策(グリーン・ウォッシング)になったりすることも懸念され、慎重な検討が必要といえます。  こうしたカーボン・クレジットとScope 3を関連付けるアプローチに関しては、さまざまな議論や批判があります。本稿ではその是非を評価するものではありませんが、いずれにしても、まずはバリューチェーン内の排出(Scope 1,2,3)の削減を最大限進め、カーボン・クレジットは補完的な位置づけとするという基本的な順序は厳守すべきであり、その方向性は、Scope 3 discussion paperもScope 3 Claim(ベータ版)も変わるものではありません。  Scope 3及びカーボン・クレジットについては、GHGプロトコルを含め各イニシアチブにおいて、新たなルールの策定や既存のルールの見直しの議論が進められているさなかであり、今は大きな転換期にあるといえます。私たちはこれらの議論を注視していく必要がありますが、企業の気候変動対策には、包括的で透明性が高く、野心的な戦略が不可欠であることは明らかです。そのための取り組みとして、サプライヤーや顧客と協働したScope 3の削減や、適切で戦略的なカーボン・クレジットの活用は、企業の脱炭素経営において大きな機会にもなり得るものといえます。 参考資料: Scope 3 discussion paper Voluntary Carbon Markets Integrity Initiative (VCMI) Scope 3 Flexibility Claim Scope 3 Claim(ベータ版) (執筆者:木塚)    

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カーボンクレジットとは何か? カーボンクレジットに関連する基礎用語を知ろう

 2024年も半分以上が過ぎ、残暑もまだ続く9月ですね。年も半分を過ぎたということで、改めてカーボンクレジットとは何か?クレジットに関連する用語について、メルマガで執筆をさせていただこうという次第です。  まず、なぜ今更、基礎という方も勿論いらっしゃることは重々承知の上ではございますが、今年の4月からSustainabilityや環境関連部、もしくは各プロジェクトに初参加された方々にも是非この、わかりづらすぎるクレジットの世界について少しでもご理解を深めていただければという事が今回の主旨でございます。(私自身も、大量の情報、大量の英語の頭文字に毎度苦しめられておりますので、少しでも助けになれば幸いです)  では…、カーボンクレジットの基礎について学んでいきましょう! カーボンクレジットとは?  まずはカーボンクレジットとは一体全体何なのでしょうか。 カーボンクレジットとは一般に、ベースラインと比較した時の温室効果ガス排出削減量や吸収量をクレジットとして認証したものを指します。 つまり、プロジェクトを通して温室効果ガスの排出削減や吸収の増大に貢献した価値をクレジットとして創出して、売買できるようにしているということです。 ベースラインって何?  次に、カーボンクレジットについて、話すと出てくるのが、「ベースライン」ですね。では、「ベースライン」とは何でしょうか? ベースラインとは削減・吸収プロジェクト活動の比較対象となるものです。プロジェクト活動のGHG削減量は、「ベースライン排出量ープロジェクト活動からの排出量」の式で定量化されます。ベースライン排出量の算定方法には複数ありますが、ここではよく見られるベースラインシナリオによる方法をご紹介します。  ベースラインシナリオとは、地球温暖化防止の対策を全く考慮しない場合に、最も起こりやすいと考えられる状況のことです。例えば、再エネが導入されずに、化石燃料を使用している状況=ベースラインシナリオです。「GHG プロトコル」では、次の3つのシナリオがベースラインシナリオになり得るとあります。 プロジェクト活動で用いられるのと同様の技術や実施方法が使用されるシナリオ ベースライン候補が実施されるシナリオ(代替技術等) 現在の活動、技術、実施方法が継続され、(該当する場合には)プロジェクト活動と同様の種類、 量、品質の製品やサービスを提供するシナリオ(効率改善、森林経営活動等)   追加性はなぜ重要なのか?  次に、追加性についても、簡単に基本的な概念にだけ、ここで触れておきます。 追加性について、経産省では下記の様に示しています。  ・プロジェクトベースの排出削減・炭素吸収・炭素除去は、 そのプロジェクトが実施されなかった場合に発生したであろう排出削減・炭素吸収・炭素除去から、追加的なものでなければならない。  ・ カーボンファイナンスが利用できなければプロジェクトは行われなかったことを実証しなければならない。  追加性が重要な理由として、GHG排出量取引制度があります。排出量取引制度を導入している国・地域の多くは、排出量取引制度とセットでクレジット制度も導入しています。排出量取引制度では各施設に排出量の上限を設け、上限を超えてしまった場合には、クレジット制度で創出された「オフセット・クレジット」で超過分を相殺できるようになっています。クレジット制度では排出量取引制度の対象外であるGHG削減や吸収量増大プロジェクトからクレジットが創出されます。  つまり、オフセット・クレジットでの相殺は、各施設にクレジットと同量の排出を認めることであり、その代わりに別の場所で排出削減、吸収量増大が行われることを前提としています。しかし、GHG削減や吸収量増大のプロジェクトの中には排出量取引制度が無かったとしても当たり前に行われていたはずのものもあります。成り行きベースで減る予定だったものを担保に施設に追加的な排出を認めてしまったら、地球全体の排出量は増えてしまいます。そのため、このクレジット制度がなかったら行われていなかったものを対象としてクレジットが作られる必要があります。 相当調整やArticle6とは?  Article6は、パリ協定に基づく国際的な炭素市場を設立し、各国が炭素クレジットを取引できるようにするものです。Article6では、売却国が許可した排出削減量を他国に売却できますが、その削減量を自国のNDCに含めるのは1カ国のみです。これにより、二重計上を避けて世界全体の排出削減量が過大評価されないようにすることが重要です。 二重計上を防ぐための「相当調整」という算定方法も設けられています。この調整は、コンプライアンス市場だけでなく、自主的な炭素市場にも適用される可能性があるものの、まだまだ、議論中のトピックが数多く存在し、次のCOPでの議論が待たれるところです。 カーボンクレジットはどこで使えるのか?  カーボンクレジットは、以下の場面で使用されます。(今回は自主的な取り組みを対象に整理します。このほかに規制対応の用途も考えられますがここでは割愛します。) 1)ネットゼロ目標達成近辺(2050年ごろ)  ネット・ゼロ目標達成時に削減できない温室効果ガス(GHG)の影響を、大気中のCO2を永久に除去・貯蔵することで中和(neutralization)する際に使用。このCO2削減は、バリューチェーンの内外で行うことができます。  ⇒ちなみにここで使えるクレジットは自然由来・および技術由来のRemoval系のクレジットです。なぜならば、中和(neutralization)には「CO2を長期的に固定する永続性」が求められるからです。クレジットの種類については、後で少し触れます。 2)BVCM(バリューチェーンの外側)  こちらは、皆様すでにご購入されている、もしくは検討されている部分ですね。こちらは今からでも始めていただく事が出来ます。これは、皆様のバリューチェーン内での排出で削減できていない部分を、バリューチェーンの外へ投資(クレジットを購入し、無効化)することで、気候変動へ社会全体という大きな視点から貢献するものです。 あくまでもボランティアの部分ではありますが、外部からの評価ポイントの一つとなっていく可能性もあります。 クレジットにはどんな種類があるのか?  では最後に、カーボンクレジットといってもどんな種類があるのか?というところですね。こちらも大きく分けて下記2つにわけられます。     1)「排出回避/削減(Avoidance/Reduce)」  2)「固定吸収/貯留(Removal)」  この2つのカテゴリがさらに、自然ベース・技術ベースで分かれていきます。例えば、自然ベース「排出経費・削減」に入るのがREDD++、技術ベースが燃料転換、輸送効率改善。一方で、固定吸収系の自然ベースは「植林、再植林」、技術ベースは「Direct Air Carbon Capture and Storage(DACCS)」などがあげられます。  その名の通りといってはなのですが、回避や削減クレジットは、ダイエットでいうところの「ジムや食生活改善」で減らしていくイメージで、固定吸収系は「脂肪吸引」のような、改善というより実力行使に近いものと言えるかもしれません(植林とかは少し違いますが…)。そして、やはりこういう実力行使系は値段が高いですよね。ですが、このようなクレジットが必要ですし、今はこのクレジットを普及させるために様々な会社が投資を行っているわけです。美容やダイエットの分野でも、脂肪吸引や整形は以前よりもどんどん金額が下がり、クオリティは上がっていると思います。固定吸収系・貯留系のクレジットもこのようになっていくのが理想です。  さて、今回はクレジットについての基礎知識のコラムを書いてみました。いかがでしたか? いよいよClimate New York、COPと年末にかけてたくさんのイベントが目白押しです。クレジットの動向についても要注意となりますので、ぜひ目を光らせて、見ていきましょう! 参考資料: The GHG Protocol for Project Accounting, The Greenhouse Gas Protocol Project Protocol |GHG Protocol SBTi ,Above and Beyond: An SBTi report on the design and implementation of beyond value chain mitigation (BVCM) 経済産業省:カーボンクレジット・レポート,20220628003-f.pdf (meti.go.jp) (執筆者:銭谷)    

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SBTスコープ3削減におけるエンゲージメントのヒント

 SBTを申請する際には、目標の種類や水準、基準年排出量の情報に加え、スコープ1,2の削減計画、スコープ3の削減計画をSubmission Formに記載する必要があります。また、弊社の支援先の企業様からは、「社内的に一定程度の削減計画や見通しが立っていないとSBT申請を行うことができない」という声もよくお聞きします。今回のコラムでは、SBT申請でどの程度の削減計画が必要なのか、また削減手段の1つであるエンゲージメント活動を行う上で活用できるSBTリソースについてお伝えします。 SBT申請の際に要求される削減計画のレベル  SBT申請にこれから取り組まれる企業様の中には、「完璧な削減計画がない限り、SBTの認定を受けることができない」と誤解をされている場合があります。実際には「完璧な削減計画」は要求されません。それは、もともとSBTが「野心的」な目標であり、多くの企業にとってかなり難易度の高い水準であることが前提であるためです。Submission Formでは、目標を達成するために計画されている主な対策を簡潔に説明する(briefly describe the main measures)形での回答が要求されており、自由記述となっています。 総量削減とエンゲージメント  スコープ1,2はともかく、スコープ3の削減にはどのように取り組めばよいのかが悩みの種です。スコープ3の目標としては、多くの企業が総量削減目標かエンゲージメント目標のいずれか、または組み合わせで目標設定をしています。よく相談を受けるのが、「総量削減の手段の1つとしてエンゲージメントを行うべきか?」というものです。スコープ3は自社の事業活動に関連する他社の排出なので、自社のサプライヤー側や顧客側で削減が行われることで、自社にとってのスコープ3削減につながることになります。その観点から、総量削減の手段としてエンゲージメント活動を行うことは、有効な削減策の1つとなります。 エンゲージメントとは?  SBTにおける「エンゲージメント目標」というのは、自社のサプライヤーあるいは顧客に、SBT水準に沿った科学的根拠に基づく排出削減目標を持たせる目標です。一方、「エンゲージメント活動」は、以下のような幅広い活動が含まれます。 ・排出削減目標を持たせる。 ・気候関連の情報収集を行う。 ・気候変動の教育を通じてベストプラクティスを提供する。 ・削減に貢献した場合にインセンティブを付与する。 SBTのエンゲージメント関連リソース①サプライヤーエンゲージメントガイダンス  上述の通り、SBTにおけるスコープ3の目標の選択肢の1つはエンゲージメント目標です。これを背景に、SBTではサプライヤーエンゲージメントの進め方に関するガイダンスを提供しています。(参考リンク:New Supplier Engagement Guidance: Unlocking the Power of Supply Chains for Decarbonization - Science Based Targets Initiative)このガイダンスの中では、対象サプライヤーの選定方法、社内関係者の巻き込み方、サプライヤーとのコミュニケーションの内容、進捗状況の追跡、サプライヤーへのフォローアップやインセンティブなど、エンゲージメント活動を成功させるためのヒントが記載されています。コンパクトに要点が凝縮されていますので、総量削減やエンゲージメント活動に取り組む皆様にはご一読をお勧めします。 SBTのエンゲージメント関連リソース②ケーススタディ    SBTではホームページ上でサプライヤーエンゲージメントのケーススタディを掲載しています。2024年5月現在、セールスフォース、アストラゼネカ、H&Mグループの3社が掲載されております。また、サプライヤーエンゲージメントガイダンスのリリースに合わせ、SBTi、We Mean Business Coalitionの共催で行われたサプライヤーエンゲージメントのベストプラクティスに関するウェビナーの中では、アストラゼネカ、フィリップスの両社が事例紹介を行っています(このウェビナーは、YouTubeのSBTiチャンネル内で公開されています。参考リンク: Supplier Cascade: How to accelerate supply chain climate action (youtube.com))。アストラゼネカは調達担当ディレクターがエンゲージメントの意義を熱弁しながら業界を巻き込む取り組みを披露し、フィリップスはサプライヤーへの細やかなフォローの事例を提供しています。日本企業の事例ではありませんが、ぜひエンゲージメント活動を進めるうえでの社内外の巻き込みのヒントにしていただければと思います。 さいごに  最近「取引先からSBT取得要請がきた」という理由でのSBT認定取得支援のお問い合わせが増えています。この取引先はSBTをエンゲージメント目標で認定取得したと考えられますが、このような取引先から取引先へSBT水準の目標設定の要請を行う動きのことを、We Mean Business CoalitionおよびSBTiは「サプライヤーカスケード」と表現しています。前述のウェビナーでもアストラゼネカの調達リーダーが「自社が1,000社と会話し、そのサプライヤーが1,000社に会話すれば100万社のサプライヤーと会話することになる。これが進むべきペースである」と強調していました。弊社自身も、お問い合わせの多さから、国内外の民間主導での脱炭素の取り組みの広がりを肌で感じています。弊社ではSBT認定取得支援はもちろん、サプライヤーエンゲージメント支援も実施しております。ぜひお気軽にお問い合わせください。  (執筆者:小島)

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企業の気候関連情報開示の今後の行方は?ISSB、そしてSSBJの草案について解説(前編)

 2024年3月29日にSSBJから公表されたサスティナビリティ開示基準案。その原型となったISSBが公表するサスティナビリティ開示基準は2023年6月26日に最終化されました。  本コラムではISSBやSSBJの基本的な情報に加え、今後取り組んでいくべき非財務情報開示について、前編後編に分け、解説します。これから非財務情報開示を検討している企業をはじめ、これまでTCFDのフレームワークに沿って開示していた情報をアップグレードしたい企業担当の方に参考となる情報ですので、気になる方はぜひご一読ください。 ISSBとはサスティナビリティ  ISSBとは(International Sustainability Standard Board)「国際サスティナビリティ基準審査会」及び同審議会により開発される基準のことで、サスティナビリティ関連財務情報の開示基準を開発する目的で設立されました。この背景にはさまざまなサスティナビリティ開示基準が錯綜していたというのがあります。当時SASBやCDSB、TCFDなどの開示基準があるなか、機関投資家が何をもって非財務情報を比較検討したらよいか不明瞭だったため、国際的に統一された開示基準を制定すべきといった要請の高まりからIFRS財団が主導で設立しました。 出典:SSBJ によるサスティナビリティ開示基準案の概要 これまでのIIRCやSASB、CDSBはIFRS財団に統合、TCFDは解散されましたが既存のフレームワークは踏襲され、IFRSのS1号、S2号の軸として取り込まれています。 ISSBが公表した2つのIFRSサスティナビリティ開示基準  ISSBが定めたサスティナビリティ開示基準は次の2つです。 IFRS S1号|サスティナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項 IFRS S2号|気候関連開示    IFRS S1号は①サスティナビリティ関連の開示を作成する際の、基本的な事項を定めた部分と②サスティナビリティ関連   のリスクおよび機会に関して開示すべき事項、で構成されています。    IFRS S2号は気候関連のリスクおよび機会に関する情報開示が要求されています。       出典:IFRS S1号及びIFRS S2号の全体像    前述したようにIFRSはTCFDの提言に基づいており、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4つの柱   が中核(コアコンテンツ)です。また産業別の指標についても開示を要請されているのも特徴の一つでしょう。 IFRS S1号|サスティナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項  IFRS S1号は投資家の投資判断に資する、サスティナビリティ関連のリスクと機会に関する情報開示が要求されています。具体的には短期、中期、長期にわたってのキャッシュフロー、資金調達へのアクセス、資本コストに影響を与えることが合理的に予想される全てのサスティナビリティ関連のリスクと機会に関する情報です。例えば次のような情報におけるサスティナビリティ関連情報となります。 資本制金融商品および負債制金融商品の購入、売却または継続保有 貸付金および他の形態による信用の供与、または決済 企業の経済的資源の利用に影響を与える企業の経営者の行動に対しての、投票または他の方法で影響を与える権利の行使  また全般的な要件には、企業はIFRSのサスティナビリティ開示基準に加え、SASBスタンダートの開示トピックを参照し、その適用可能性を考慮しなければなりません。さらに水、生物多様性に関するCDSBのフレームワークについても適用可能性も考慮する必要があります。  参考:IFRS S1 IFRS®Sustainability Disclosure Standard IFRS S2号|気候関連開示  IFRS S2号はサスティナビリティ情報のうち、特に気候に関連するリスク及び機会に関連する補足的要求事項を規定しています。TCFDフレームワークを踏襲し、要求事項はTCFDと概ね整合的ですが、より詳細な情報開示が求められる部分もあります。例えば初年度には適用されませんがScope3の開示や目標が第三者による検証の有無、産業別のガイダンスの適用可能性を参照し、検討しなければなりません。 すでにTCFDに対応している企業であれば開示情報の高度化を進め、対応していない企業おいては、まずTCFDフレームワークに沿った情報開示に取り組み、段階的にIFRSに対応していくといいでしょう。 後編ではSSBJ基準案や、ISSBにおける欧州サスティナビリティ基準(ESRS)との相互運用についてまとめます。  (執筆者:渡部)

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