グリーン電力証書は、再生可能エネルギーから発電された電力のうち、環境価値のみを取引できるようにしたものです。環境価値は再エネ発電所から証書購入者へ移転され、購入者がその環境価値を主張することができます。使用する電力に対して証書を購入することで、その電気が再生可能エネルギーから発電した電力であるとみなすことができます。
グリーン電力証書
グリーン電力証書とは何ですか?
証書発行の仕組は?
「グリーン電力証書システム」という認証制度の下、発行されます。具体的には、資源エネルギー庁のガイドラインに基づき第三者認証機関によって行われる審査を経て、証書発行事業者※により証書が発行されます。環境価値は、発電所所在地・発電種別・発電時期などのトレーサビリティーが確保された状態で管理されており、希望の種別、時期などを指定して購入できる仕組みになっています。
※グリーン電力証書を発行・販売できる事業者。2019年4月現在25社・団体が登録。
証書化できる対象は?
第三者認証機関から認定を受けた再生可能エネルギー発電設備(太陽光・風力・水力・地熱・バイオエネルギー)によって発電される電力が対象です。但し、固定価格買取制度(以下FIT)での売電分は、対象となりません。(FITで売電した電力の環境価値は、電力を使用する全ての国民に分配されることになるため。)
現状では、再エネ発電設備で発電される電力の多くはFITで売電されており、それ以外の自家消費分がグリーン電力証書化されるケースが多くなっています。
グリーン電力証書の活用用途にはどのようなものがありますか?
主に、以下の活用用途があります。
- 企業などにおいて、購入した証書分を再エネ電力量として主張する。
(CDP質問書・RE100の進捗状況報告において再エネ電力量として報告可能。) - 企業などにおいて、温対法の排出量調整でグリーン電力証書購入分と同等のCO2量をマイナスする。
(但し、資源エネルギー庁および環境省が運営する「グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度」によりCO2削減相当量としての認証を取得する必要あり。) - 企業などにおいて、東京都や埼玉県の排出量取引において、再エネクレジットとして自社のCO2排出削減義務量に充当する。
- 小売電気事業者において、顧客に販売する電気と同量のグリーン電力証書を組み合わせて「再エネ100%電力プラン」を提供する。
購入方法と必要な手続きについて教えてください。
証書発行事業者から購入が可能です。まず、希望の電力量や発電種別などを伝え見積を取得します。契約締結後、発電量・発電時期・発電方法などが書かれたグリーン電力証書が発行され、購入者は証書をもって再エネ電力量として主張できます。
海外工場の再エネ化にも使えますか?
再エネ証書は電力と同等であるため、同系統内のものを調達する必要があります。よって日本のグリーン電力証書は国内でのみ利用可能であり、海外工場用にはその系統内で発行されている再エネ証書を調達する必要があります。
再エネ発電由来J-クレジットとの違いは何ですか?
基本的な考え方が異なりますが、活用にあたってはあまり違いはないと考えていただいて良いかと思います。再エネ発電由来J-クレジットでも前掲のグリーン電力証書の活用用途の①②④が可能です。③はグリーン電力証書に限定されます。発電所所在地や種別、時期を限定しての購入にはグリーン電力証書がより便利です。
【参考:グリーン電力証書 V.S. J-クレジット 考え方の違い】
グリーン電力証書は再エネ発電量(FIT売電がある場合には売電量を除いた量)を計測し、その電力量(kWh)を取引します。それに対し、J-クレジットは「ベースライン&クレジット方式」と呼ばれ、排出削減事業が行われなかった場合に予想されるCO2排出量(ベースライン)と比べた時の排出削減量(t-CO2)を取引します。再エネ発電の場合、再エネで創出された電力と同量の電力が化石燃料で創出された場合に予想されるCO2排出量がベースラインとなり、そこから再エネ発電に伴うCO2排出量(発電に直接関わる排出量は基本0だが、設備稼働に係る電力や燃料の運搬にかかる燃料等の付随的な排出量も考慮する場合あり)をマイナスした分が排出削減量=J-クレジットとなります。
(但し、いずれもkWh→t-CO2、t-CO2→kWhへ換算する手続きがあります。)
【参考リンク】
ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社