大きく分けると規制への対応と自主的な取組への活用に分けられます。
規制への対応としては、排出量取引制度などで目標未達分をクレジット購入で埋め合わせるなどといった活用があります。国連や各国政府主導の認証制度は主にこのような活用を想定して作られています。各排出量取引制度において、利用可能な認証制度が指定されている場合がありますので注意が必要です。日本でもGXリーグにて目標未達分に利用可能なクレジットとしてJクレジットなどが検討されています。
自主的な取組への活用としては、まず、カーボン・オフセット/カーボンニュートラルへの活用があります。企業等が製品や組織の排出量について、自社で削減努力をした上で、どうしても削減しきれない分の全部や一部をクレジットで埋め合わせ、排出量みなし0や低減を主張します。
その他には、SBTネットゼロへの活用があります。SBTネットゼロでは、1.5℃水準の短期目標、及び2050年までに90%以上(FLAGセクターは80%以上)の排出削減という長期目標が求められます。さらに10%未満の残ってしまう残余排出量について、炭素除去(Carbon removal)で中和(Neutralization)することが求められています。炭素除去とは大気中からCO2を取り除くことで、植林や森林管理などによる吸収量や土壌管理などによる貯留量もこれに該当します。また自然由来の手段の他に技術的な方法としてバイオ炭、将来的には回収・貯留付きバイオマス発電(BECCS)、大気からの直接回収(DACS)などの技術が開発されています。炭素除去の詳細ルールはSBTiで開発中ですが、吸収・貯留系のクレジットの調達も炭素除去の調達方法の一つとなると考えられます。よって吸収・貯留系のクレジットは価格が高く設定される傾向にあります。
SBTネットゼロではもう一つ任意の取組としてバリューチェーンを超えた緩和活動(BVCM)の実施も推奨されています。90%以上削減までの移行期間に企業のバリューチェーン外で排出削減活動や投資を行い、地球全体の排出削減に貢献するというものです。中和とは異なり、ボランティアや寄付のような位置づけです。こちらも詳細ルールはSBTiで開発中ですが、削減系、吸収・貯留系を含む様々なクレジットの調達もBVCMの実施方法の一つとなると考えられます。