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サプライチェーン排出量

Scope3で把握する項目が多すぎます。サプライチェーンでの排出量算定など本当にできるのでしょうか?

算定する項目は15のカテゴリに分類されています。また、ある程度簡易に算定する方法もあります。まずは全体を概算で把握して、排出量の多い箇所(ホットスポット)を特定します。その上で、目的に合わせ、部分的に細かく活動量を取得し、排出量を算定していくこともできます。

担当部署だけではScope3把握は難しいです。会社的な取り組みとしていきたいと考えていますが、どのようにして役員を説得すべきか悩んでいます。

企業が置かれている立場(会社的な規模・業種等)にもよりますが、CDP(※)回答企業においては回答率が年々上昇してきています。大企業ではサプライチェーンにおける環境・人権・ガバナンス等といった非財務情報を開示することがより求められています。そうした背景において投資家、またサプライヤーから排出量情報の開示を要求された場合、その要求に応えられないことが企業経営におけるリスクにもなり得ます。 そうした事業リスク・機会の把握のための一つの手段として、サプライチェーン排出量把握の必要性をご説明されてはいかがでしょうか?

※企業の気候変動、水、森林、サプライチェーン、都市等に関する対応取組の情報開示を要求するプログラムを運営する英国の環境格付機関。

電力やエネルギーの購入金額は分かるのですが、量を把握していません。排出量を算定することはできますか?

Scope1,2と呼ばれる事業活動にともなうエネルギー・電力の使用に関してはできる限り使用量ベースの値を把握することが望ましいです。使用量ベースで把握することで、排出量の削減努力を反映しやすくなります。SBTの認定や将来的な削減といった目的がある場合、データの収集の仕組み作りから取り組むことを推奨します。

ただし、どうしても取得が難しい、または全体における寄与率が小さい等の理由がある場合は、金額換算で算定することもあり得ます。

Scope1,2は省エネ法で報告している対象(事業所の燃料・電気)と同じでしょうか?

基本的には同じとなりますが、GHGプロトコル(※)上では海外拠点や移動源排出(営業車等)の燃料使用も対象となります。多くの企業で営業車の燃料を把握していないため、新たに、自社で所有する営業車のガソリン使用に伴う排出量等もScope1に計上する必要があります。

※温室効果ガス(GHG)排出量算定・報告の世界基準

カテゴリ1「購入した製品・サービス」とは何を算定すれば良いですか?

基本的には、当該企業が対象年度に購入したすべての製品・サービスを対象とする必要があります。購入した製品が製造される段階、またサービスが提供される段階での排出量を算定します。 具体的には、商品の原材料だけでなく、間接調達(事務用品の購入やソフトフェア等)も含めて算定対象となります。

カテゴリ1「購入した製品・サービス」の項目が多く大変です。すべての項目を洗い出す必要がありますか?

算定精度および網羅率について高い水準であることが望ましいですが、Scope3で要求する算定精度の基準は特にありません。目的に合わせ、算定対象とする項目を設定します。 例えば、排出量の割合が大きく、今後削減していく必要がある主原料についてはある程度細かい分類で取得し、それ以外については会計書類上の科目コードの分類で算定するなどの方法があります。

カテゴリ1「購入した製品・サービス」では排出量の算定で金額換算と重量換算のどちらを選べば良いですか?

重量換算の方が排出量は実態に近くなりますが、網羅的に把握するには金額換算の方が良い場合もあります。まずは取得しやすい方法で実施するか、目的に合わせて設定する必要があります。排出量の割合が大きく、今後排出削減を実施していく対象であれば、重量換算での把握が望ましいです。 なお、参考としてGHGプロトコルでは、排出量の算定手法を選定するためのデシジョンツリーを紹介しています。 例えば、その購入した製品・サービスが、排出量に重大な寄与をしており、サプライヤーエンゲージメント(サプライヤーとの協同での削減等)に関連していて、重量ベースでの把握ができ、サプライヤーの自社向けの商品製造時排出量を取得できる場合は、サプライヤー固有値(※)を使用します。 一方、排出量に重大な寄与をしておらず、重量での把握が難しい場合は金額換算での算定をすることになります。

※サプライヤー固有の対象製品の原料調達から製品出荷までの排出量

Scope3のカテゴリ3「エネルギー関連活動」とは何ですか? Scope1,2とはどう違うのですか?

Scope1,2では化石燃料の燃焼時(使用時)の温室効果ガス排出量を算定します。一方、Scope3カテゴリ3においては、化石燃料(例:石炭等)が採掘され、輸送されまでに排出される温室効果ガスを算定します。

物流が複雑すぎて、どうしたらよいか分かりません。

まずは現状の把握が必要です。実態に合わせて物流のシナリオを作成する方法、また省エネ法の特定荷主(※)での届け出を行っている場合は、その値を使用することができます。 輸送のシナリオを検討する際は、トンキロ法での算定の場合、輸送重量・輸送距離・輸送手段(車両、積載率)などを把握する必要があります。 輸送距離や手段については、カーボン・フットプリントの輸送シナリオ(例:原材料の国内輸送は10tトラックで500㎞片道輸送、積載率50%)といった考え方を適用することもできます。

※事業者全体のエネルギー使用量(原油換算値)が合計して1,500kL/年度以上である場合に該当

輸送重量が把握できません。どうしたらいいでしょうか?

輸送時の金額のみ把握が可能であれば、金額換算で排出量を算定する方法もあります。また調達品の金額と輸送の金額を切り離すことが難しい場合、カテゴリ1の算定時に、輸送を含めた排出原単位で算定することで、調達および製造の排出量(カテゴリ1とカテゴリ4)を一緒に算定することもできます。

Scope3の把握にどのくらいの工数がかかるものでしょうか?

どの活動を算定対象とするか? 対象活動のどの項目を拾うか? を整理する段階、また活動量の取得先との調整に時間がかかる場合が多いです。会社規模にもよりますが、おおよそ3か月~6か月程度かかります。