Faq

よくあるご質問

クレジット(排出権)

カーボン・オフセットやカーボンニュートラル、中和やBVCMなどに使えるクレジットについて、よくあるご質問をまとめました。

クレジットとは何か?

クレジット(排出権)とは、省エネや再エネ、森林管理などの活動によるGHG排出削減や吸収量・貯留量増大の価値で、政府などの認証機関によって認証され、取引が可能なものです。クレジットを購入し、無効化することで、カーボン・オフセットなどに活用することができます。

クレジットは様々な排出削減や吸収・貯留量増大活動(プロジェクト)から作られ、主に1t-CO2eの単位で取引されます。認証制度ごとにクレジットを作ることができるプロジェクトの種類が決まっています。具体的には方法論(排出削減や吸収・貯留量増大に資する技術ごとに、適用範囲、削減量等の算定方法、モニタリング方法などを決めたもの)が登録されている活動からのみクレジットを作ることができます。

クレジットにはどのような種類があるのか?

クレジットは「誰が認証するか」という認証制度の違いと、「クレジットの由来は何か(どのようなプロジェクトから作られたか)」というプロジェクト種類の違いによって分類できます。

認証制度で分けると、まず、国連や各国政府が認証するもの(主に規制などで使用されるもの)とそれ以外の民間団体が認証するもの(主に規制以外の自主的(ボランタリー)な目的によって使用されるもの)に大きく分けられます。前者には、国連が認証するクリーン開発メカニズム(CDM)、各国政府が認証するもの(日本のJクレジット制度など)、その他に二国間で行われるもの(日本と発展途上国の間で行われるJCM制度など)などがあります。後者にはVerra(前身はWBCSD、IETAなどの民間企業の団体)が運営するVerified Carbon Standard (VCS)、WWFなどの環境NGOが運営するGold Standardなどがあります。

プロジェクト種類で分けると、削減系と吸収・貯留系に大きく分けられます。削減系には、省エネや再エネなどのプロジェクトが含まれます。吸収・貯留系には植林・再植林や森林管理などのプロジェクトが含まれます。

活用用途ごとに、利用可能な認証制度とプロジェクト種類が異なる場合がありますので、注意が必要です。

クレジットはどのように調達できるのか?

クレジットは相対取引が中心です。クレジットを作るプロジェクト開発者が価格を設定しクレジットを販売します。クレジット認証制度のウェブサイトなどで販売クレジット一覧が確認可能な場合もありますが、多数のプロジェクトの中から調査・選定し購入の交渉を行ってというのは手間がかかるため、様々なプロジェクトのクレジットを多数取引するプロバイダーを介して調達するケースが多いです。プロバイダーはクレジットを調達した上で、無効化の代行も行います。まとまった量を継続して調達したい場合、特定のプロジェクト開発者と中長期のデリバリー契約を結んで調達することも可能です。さらに、プロジェクトへの直接投資を行って、創出予定のクレジットをより安価に取得する権利を得るという方法もあります。

クレジットはどのような用途に活用できるのか?

大きく分けると規制への対応と自主的な取組への活用に分けられます。

規制への対応としては、排出量取引制度などで目標未達分をクレジット購入で埋め合わせるなどといった活用があります。国連や各国政府主導の認証制度は主にこのような活用を想定して作られています。各排出量取引制度において、利用可能な認証制度が指定されている場合がありますので注意が必要です。日本でもGXリーグにて目標未達分に利用可能なクレジットとしてJクレジットなどが検討されています。

 自主的な取組への活用としては、まず、カーボン・オフセット/カーボンニュートラルへの活用があります。企業等が製品や組織の排出量について、自社で削減努力をした上で、どうしても削減しきれない分の全部や一部をクレジットで埋め合わせ、排出量みなし0や低減を主張します。

 その他には、SBTネットゼロへの活用があります。SBTネットゼロでは、1.5℃水準の短期目標、及び2050年までに90%以上(FLAGセクターは80%以上)の排出削減という長期目標が求められます。さらに10%未満の残ってしまう残余排出量について、炭素除去(Carbon removal)で中和(Neutralization)することが求められています。炭素除去とは大気中からCO2を取り除くことで、植林や森林管理などによる吸収量や土壌管理などによる貯留量もこれに該当します。また自然由来の手段の他に技術的な方法としてバイオ炭、将来的には回収・貯留付きバイオマス発電(BECCS)、大気からの直接回収(DACS)などの技術が開発されています。炭素除去の詳細ルールはSBTiで開発中ですが、吸収・貯留系のクレジットの調達も炭素除去の調達方法の一つとなると考えられます。よって吸収・貯留系のクレジットは価格が高く設定される傾向にあります。

 SBTネットゼロではもう一つ任意の取組としてバリューチェーンを超えた緩和活動(BVCM)の実施も推奨されています。90%以上削減までの移行期間に企業のバリューチェーン外で排出削減活動や投資を行い、地球全体の排出削減に貢献するというものです。中和とは異なり、ボランティアや寄付のような位置づけです。こちらも詳細ルールはSBTiで開発中ですが、削減系、吸収・貯留系を含む様々なクレジットの調達もBVCMの実施方法の一つとなると考えられます。

無効化とは何か?

クレジットを使用済とする手続きのことです。1t-CO2eの排出削減や吸収・貯留量増大の価値が重複して使われないようにするために行われます。プロジェクト開発者が削減や吸収・貯留量増大の活動を行い報告すると、認証制度内の口座にクレジットが発行されます。クレジットはシリアルナンバーで管理されています。購入契約が成立すると、プロジェクト開発者は決まった量のクレジットを販売先のプロバイダー等の口座へ移転します。その後プロバイダーにて購入者の代行で無効化手続きを行います。無効化手続きでは対象のクレジットのシリアル番号とどのような用途に使用するのかを報告します。すると当該シリアル番号のクレジットは使用済とされ口座からなくなり、何度も使用できないようになっています。

ビンテージとは何か?

排出削減や吸収量・貯留量増大の価値が生まれた年です。クレジット活用にあたっては、なるべくオフセットなどを主張したい時期と近い時期のビンテージのクレジットを利用することが望ましいです。あまりに古いビンテージのクレジットを使用することは推奨されず、よってより新しいものが高い価格で販売される傾向があります。

 

クレジットはまとめて購入してストックしておけるのか?

クレジットを無効化せずに保有しておくことは可能です。ただし自社でストックするには認証制度内に自社のクレジット口座を所有している必要があります。プロバイダーによっては顧客に代わって顧客のクレジットを保管するサービスを提供している場合もあります。

 

 

組織の排出量のカーボン・オフセットをしたい場合、クレジットはその組織が所在する国内で作られたものを調達する必要があるか?

基本的にはオフセットやクレジットでは地理的な制限はありません。大気はつながっており、世界のどこで排出削減や吸収量・貯留量増大が行われても同じ効果があると考えます。ただし各国の排出量取引制度など、活用用途によっては地理的な制限が設けられている場合もあります。

SBT(目標設定編)

SBT(Science Based Targets)とはパリ協定が求める⽔準と整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減⽬標のこと。SBTi(SBTイニシアティブ)が申請企業の目標の妥当性確認を行い、認定を与えている。

Scope1,2だけではなくScope3の目標も設定する必要があるか?

Scope3排出量がScope1,2,3排出量合計の40%以上である場合、Scope3の目標設定も必要です。また、化石燃料の販売や流通に関わっている場合はScope3の排出量比率に関わらず販売した製品由来のScope3の目標設定が必要です。

Scope1,2の目標としてどのような目標が認められているか?

Scope1,2の目標は「産業革命前からの世界気温上昇を1.5℃以内に抑えるために必要な脱炭素化水準(以降1.5℃水準)」と整合した目標であることが必要です。以下の2種類の削減目標が認められています。

- 1.5℃水準以上の総量削減目標(全セクター)

- セクターごとの1.5℃に向かう経路(SDA:Sectoral Decarbonization Approach)に沿った原単位削減目標(一部の排出量が大きいセクターのみ)

 

総量削減目標とは「総排出量」を削減する目標です。SBTiでは総量同量削減(毎年同量を直線的に削減していく)が採用されています。「排出量を〇年比〇年までに〇%削減」という目標を設定します。1.5℃水準以上の削減率の目安は年率4.2%以上×年数です。但し条件によって必要な削減率が異なる場合があります。SBTiが認定に必要な目標水準を試算するツール(SBTiツール)を提供していますので、そちらを使ってご確認ください。

原単位削減目標とは「生産量等の指標1単位当たりの排出量」を削減する目標です。「〇〇当たりの排出量を〇年比〇年までに〇%削減」という目標を設定します。こちらもSBTiツールを使って必要な削減率をご確認ください。

また、Scope2については排出削減目標を持つ代わりに、再エネ電力目標を設定することも認められています。

Scope2の再エネ電力目標とはどのような目標か?

再エネ電⼒を1.5℃経路に準ずる割合で積極的に調達する⽬標です。RE100との整合も考慮し、再エネ電力調達比率を2025 年までに80%以上、2030年までに100%という水準が設定されています。すでにこの比率を達成している場合は、維持もしくは向上させる目標を設定する必要があります。

Scope3の目標としてどのような目標が認められているか?

Scope3の目標は「産業革命前からの気温上昇を2℃より十分低く抑えるために必要な脱炭素化水準(以降WB(Well-below)2℃水準)」と整合した目標であることが必要です。以下の3種類の削減目標が認められています。

‐総量削減目標:WB2℃水準以上の総量削減目標(目安は年率2.5%以上×年数)

‐経済的原単位削減目標:付加価値あたりの排出量を前年比少なくとも7%削減する原単位削減目標

‐物理的原単位削減目標:SDAに沿った原単位目標もしくは総排出量の増加につながらず、物量あたりの排出量を前年⽐少なくとも7%削減する原単位削減目標

また、これ以外にサプライヤー/顧客エンゲージメント目標も認められています。

Scope3のサプライヤー/顧客エンゲージメント目標とはどのような目標か?

自社のサプライヤーや顧客にSBTiが求める水準の目標設定をしてもらうことを目標とするものです。目標提出から5年以内の年を目標年として設定する必要があります。(つまり、5年以内にサプライヤーや顧客に目標設定をしてもらうことを約束することになります。)サプライヤー/顧客によるSBTi認定取得は推奨されていますが必須ではありません。

基準年と目標年の条件はあるか?

基準年は2015年より後である必要があります。目標年は目標提出から5~10年後の間に収まる年である必要があります。西暦の前半に目標提出した場合は目標提出の年も含めてカウント、後半に提出した場合は目標提出の年は含めずカウントします。(2022年前半に提出した場合は2026~2031年、2022年後半に提出した場合は2027~2032年。)

直近年とは何か?

直近年は排出量データがある最新の年です。目標提出から2年前までの年が直近年として認められています。SBTiでは目標がSBTiの求める水準の削減率になっているかを、基準年から目標年、最新年から目標年の両方で評価します。

Scope1,2,3排出量の全てを目標の対象範囲にする必要があるか?排出量の一部を目標の対象範囲から外すことはできるか?

Scope1,2はScope1,2排出量合計の5%までであればインベントリ(排出量数値)と目標の対象範囲から外すことができます。Scope3はScope3排出量合計の2/3以上を目標の対象範囲とする必要があり、よって残りの1/3までは対象範囲から外すことができます。

ここで、インベントリ(排出量数値)から外してよいということと目標対象範囲から外して良いということは分けて考えますのでご留意ください。基本の考え方は、排出量は漏れなく把握した上で、そのうちの上述の割合に収まる範囲については目標の対象範囲から外すことができるというものです。

インベントリ(排出量数値)は100%漏れなく把握する必要があるのか?

前項の通り漏れなく把握が基本スタンスですので、100%を目指せるとベストです。但しScope1,2については5%までであればインベントリと目標の範囲から外すことができるとありますので、5%までをインベントリから外す(算定除外として排出量数値に含めない)ことができます。5%をインベントリから外す場合、目標対象範囲は100%として、インベントリと目標対象範囲の両方で除外は合計5%までに収める必要があります。また算定除外とする場合は除外する排出源を示し、除外の理由も説明する必要があります。

目標設定はSBTiツールに沿ってできたが、排出削減策の検討まではできていない。それでも認定取得は可能か?

申請書には排出削減に向けた計画について簡単に記載を求める欄がありますが、この欄の記載内容によって認定可否を判断するような基準にはなっていません。よって削減の方向性として検討していることを簡単に記載できれば十分と考えています。一方で、目標設定・申請の社内説明にあたって、ある程度削減の道筋を示す必要があるという声も良く聞きます。そのような場合は排出削減策の検討に必要な期間も見込んだ上で申請までのスケジュールを立てる必要があります。

クレジットやオフセットは排出削減手段として認められるか?

SBTiはクレジットやオフセットを目標達成のための排出削減量としてカウントすることを認めていません。クレジットとは排出削減量等の環境価値を金銭価値化し取引するものですが、このように排出削減量を取引し企業から企業へ移転させるだけでは必ずしも地球全体の排出量の削減につながらないからです。クレジットはネットゼロ目標における残存排出量の「中和」(排出量を90%以上削減した上でどうしても残ってしまう残存排出量を同量の炭素除去量で相殺する)においてと、ネットゼロに向けた移行期の追加的な取り組みとして推奨されている「バリューチェーンを超えた緩和活動(BVCM:Beyond Value Chain Mitigation)」(自社のバリューチェーン外における GHG 排出削減のための行動や投資。クレジットの購入も一例として挙げられている)においてのみ認められています。利用が認められるクレジットの要件については具体的ルールの公開はこれからですが、クレジットであれば何でも良いとはならないので注意が必要です。

クレジットが排出削減手段として認められないということだが、Jクレジットは利用可能と聞いた。

Jクレジットの中の一部(再エネ電力・熱由来クレジット)については、クレジットとしてだけはなく再エネ証書※として使うことも認められています。再エネ証書の調達は再エネ調達の一つの手段とみなされています。再エネ電力の場合、Scope2計算の際の電力の排出係数は0と考えますので結果的に排出削減につながります。よって目標達成のための排出削減量にカウント可能と言い変えることができます。

※クレジットと再エネ証書は別のものですので注意が必要です。再エネ証書は正式名称「エネルギー属性証明書(EAC:Energy Attribute Certificate)」と言い、再エネから作られる電気等のエネルギーの環境属性情報を証明するものです。電気等の価値と切り離して、再エネの価値だけで取引することができます。自社が消費している非再エネの電力や熱と同量の再エネ証書を調達すると、電力の契約は変えずに再エネの電力や熱を調達し消費しているという主張ができます。

 

参考:

SBTiウェブサイト- FAQ

https://sciencebasedtargets.org/faqs

CDPジャパン「SBT要件と推奨事項」(SBTi Criteria and Recommendations仮訳)

https://sciencebasedtargets.org/resources/files/SBTi-criteria-JP.pdf

CDPジャパン「SBTi 企業ネットゼロ基準」(SBTi Corporate Net-Zero Standard Criteria仮訳)

https://sciencebasedtargets.org/resources/files/Net-Zero-Standard-Criteria-jp.pdf

SBT(参加要件・手続編)

参加可能な企業の条件は?

あらゆるセクターあらゆる規模の企業が参加可能です。但し2023年1月現在、化石燃料会社についてはコミットメント及び目標提出が一時停止されています。また、自動車メーカーについては、コミットメントは可能ですが、目標提出及び目標更新が一時停止されています。

CDPと同様、基本的にはグループ単位での参加になりますのでご注意ください。

中小企業も参加が可能です。SBTiの中小企業「Small-and medium-sized enterprises (SMEs)」の定義(従業員500⼈未満・⾮⼦会社・独⽴系企業)に当てはまる場合は、SMEsルートでの申請となります。SMEsルートでは⽬標提出後、⾃動的に承認され、通常ルートのような妥当性確認審査はありません。

詳細及び最新情報は以下リンク先よりご確認ください。

https://sciencebasedtargets.org/faqs#who-can-join-the-sbti

SBTiではネットゼロ目標の認定も行っているか?

行っています。但しSBTiのネットゼロの定義に沿ったネットゼロ目標である必要がありますのでご留意ください。SBTiネットゼロの定義は以下の通りです。

(a) Scope1、2、3 の排出量をゼロにするか、もしくは適格な 1.5℃シナリオまたはセクター軌道においてグローバルまたはセクターレベルでのネットゼロ排出達成と整合する残余排出量水準にまで削減すること

(b) ネットゼロ目標の時点における残余排出量およびそれ以降に大気中に放出されるすべての GHG 排出量を中和すること

加えて任意で、自らのバリューチェーン外における GHG 排出削減のための行動や投資を推奨(バリューチェーンを超えた緩和:Beyond value chain mitigation (BVCM))

必要な手続き、流れについて教えてほしい

【STEP1】 コミットメント(任意)

目標設定及び認定取得を決断されたらコミットメントレター「commitment letter」を提出します。これにより2年以内のSBT設定を約束することになります。コミットメントは任意で、このSTEPは省略してSTEP2から始めても構いません。コミットメントを行うとSBTiウェブサイト等に会社名が公表されます。

コミットメントレターは以下リンク先から入手可能です。

https://sciencebasedtargets.org/step-by-step-process#commit

SBTiウェブサイト公表ページ:https://sciencebasedtargets.org/companies-taking-action

 

【STEP2】 目標提出フォームの作成・提出、妥当性確認審査予約

認定基準等を参照して排出削減目標を設定します。その後、目標提出フォーム「Target Submission Form」を作成し、予約システムから提出、妥当性確認審査の予約を行います。

審査が込み合っていることから、2023年1月現在、審査予約が可能な時期は提出時点から7か月程度先となっています。

目標提出フォームは以下リンク先から入手可能です。

https://sciencebasedtargets.org/step-by-step-process#submit

 

【STEP3】 SBTi事務局による妥当性確認審査

基本的要件を満たしているかを確認するイニシャルスクリーニングを経た後、SBTi事務局との間で目標検証サービス契約を締結、請求書が発行され、審査が始まります。ここから最短で30営業日(通常の短期目標の場合)以内で審査完了となります。

審査は、リードレビュアーによるデスクレビュー、任命された承認者によるレビュー、検証チームでの協議の三段階で行われ、その後結果連絡・フィードバックが行われます。

各段階で目標提出フォームの記載内容やCDP回答、会社HP等の公開情報を基に、SBTi事務局から質問や指摘が入ります。最短での完了を目指すには、これらの質問に毎回2営業日以内で回答する必要があります。

 

【STEP4】 SBTiウェブサイト等での公表

認定されるとSBTiウェブサイト等で会社名及び設定した目標が公表されます。プレスリリース等の外部へのコミュニケーションを検討される場合は合わせて実施します。

 

SBTiウェブサイト公表ページ: https://sciencebasedtargets.org/companies-taking-action

 

認定取得までどのくらいの期間がかかるか?

前述の通り、2023年1月現在、申請書提出から審査完了までは審査開始までの待ち時間も含み最短で8.5か月程度(待ち時間7か月+審査期間1.5か月程度※通常の短期目標の場合)となります。審査予約状況は変動しますのでご留意ください。また、審査過程での質問や指摘の数や回数は増加傾向にあり、それに伴い審査機関も長くなる傾向にあります。よって期間は余裕を見ていただくと確実です。加えて目標設定や申請書作成の必要期間も考慮する必要があります。弊社では標準的に1~2か月程度で支援を行っています。

また、弊社では目標設定の前段階として、Scope1,2,3のレビュー(インベントリ(排出量)がSBT要件と整合しているかを確認)も行っています。(弊社でScope1,2,3算定支援を実施していないお客様が対象。)こちらは標準的に2か月程度で実施しています。

これらを全て考慮すると、目標設定・認定取得を決断されてから認定取得まで、トータルで1年程度の期間が必要となります。

 

認定取得には費用がかかるか?

SBTiによる妥当性確認の費用がかかります。以下が費用の一部です。(2023年1月現在。最新情報はSBTiウェブサイトにてご確認ください。)

短期目標(Near-term science-based target):$9,500

目標更新(Target update):$4,750

中小企業(Small-and medium-sized enterprises (SMEs))短期目標/目標更新:$1,000

ネットゼロ目標(Net-zero target): $9,500

短期目標更新&ネットゼロ目標(パッケージ価格):$12,750

短期目標&ネットゼロ目標(パッケージ価格):$14,500

中小企業ネットゼロ目標:$1,000

詳細及び最新情報は以下リンク先からご確認ください。

https://sciencebasedtargets.org/faqs#how-long-does-the-sbti-process-take-how-much-does-it-cost

 

妥当性確認の際、SBTi事務局からはどのような質問や指摘があるのか?

インベントリ(排出量)の網羅性に関連した質問が多い傾向です。連結対象子会社の排出量が含まれているか、関連する全ての事業の排出量が含まれているか、Scope3の関連するカテゴリが全て算入されているか、各カテゴリで最低限含めるべき範囲の排出量が算入されているか等です。算定除外にしている場合には正当な理由の説明が必要です。また、影響が大きい場合には、インベントリへの加算を求められることもあります。

 

審査の結果、認定されないということもあるのか?

認定基準を満たしておらず、基準を満たすための修正対応もできない場合には認定されないことになります。認定基準を満たしていない可能性がある場合(インベントリに不備があったり、目標水準が基準を満たしていない等)、審査過程で質問や指摘が入ります。それに対し、正当な理由を説明したり、基準を満たすための修正に合意ができれば、基準を満たしたものとして審査が進みます。質問や指摘が入った場合には短期間での回答・修正への合意が必要ですので、あらかじめ質問や指摘を受けやすそうなところについては対策を立てておけると安心です。また、1回目の審査で認定取得ができなかった場合、半年以内であれば追加費用無しで2回目の審査を受けることが可能です。(目標更新の場合は1回のみ。)

 

認定取得後にしなければならないことはあるか?

認定取得後は年に1回、排出量と目標に向けた進捗の報告を行う必要があります。報告の場所は任意で、CDP回答や、レポート、ウェブサイト等が例として挙げられています。

また、目標は少なくとも5年に1度は見直し、必要があれば再計算、再審査を行う必要があります。再計算の際はその時点の最新の基準に従います。5年に1度の必須の見直しの他に、目標設定に関係する重大な変更がある場合には必要に応じ再計算が必要になります。重大な変更とは、買収や分離等、企業構造や活動が大きく変化した場合や、基準年のインベントリや成長予測等に大幅な変更がある場合等が該当します。

これらの対応を約束することが認定の要件になっていますので、詳細は認定基準をご参照ください。

 

参考:

SBTiウェブサイト- FAQ

https://sciencebasedtargets.org/faqs

CDPジャパン「SBT要件と推奨事項」(SBTi Criteria and Recommendations仮訳)

https://sciencebasedtargets.org/resources/files/SBTi-criteria-JP.pdf

CDPジャパン「SBTi 企業ネットゼロ基準」(SBTi Corporate Net-Zero Standard Criteria仮訳)

https://sciencebasedtargets.org/resources/files/Net-Zero-Standard-Criteria-jp.pdf

バイオプラスチック

バイオプラスチックとは?

バイオプラスチックとは「生分解性プラスチック」と「バイオマスプラスチック」の総称を指します。

【生分解性プラスチック】通常のプラスチックと同様の耐久性を持ち、使用後は自然界に存在する微生物の働きで最終的にCO2と水にまで完全に分解されるプラスチック

【バイオマスプラスチック】再生可能なバイオマス資源を原料として、化学的または生物学的に合成することにより得られるプラスチック。焼却処分した場合でも、バイオマスの持つカーボンニュートラル性から、大気中のCO2の濃度を上昇させないという特徴がある。これにより、地球温暖化の防止や化石資源への依存度低減にも貢献することが期待される。

「生分解性プラスチック」は分解性に係る機能に、「バイオマスプラスチック」は原料に着目しているため、必ずしも一致しません。

 

バイオマスプラスチックとは?

一般に「バイオマス」という場合は、「活用できる生物由来の再生可能な有機資源」と定義されます。
具体的には以下のようなものが挙げられます。
【廃棄物系バイオマス】食物廃棄物、家畜排せつ物、建築廃材、古紙など
【未利用バイオマス】農作物非食用部、林地残材など
【資源穀物】エネルギー源や、製品の原料を目的として栽培される植物
【新作物】バイオマス生産に適した、海洋植物や、新遺伝子組み換え植物

 

バイオマスプラスチックの原料は潤沢に均一な品質のものが得られるトウモロコシなどの穀物資源、サトウキビ等から取り出される糖類及びトウゴマ等の食物油類が主体です。
非食用の資源を用いることが多く、使われているトウモロコシはデントコーンと呼ばれる家畜用飼料などに使用されるものであり、直接的には人間の食料として使われていない種類のものです。また、サトウキビは、砂糖を作る際に副生する廃糖蜜を使用しています。

 

バイオマスプラスチックの主要用途としては以下のようなものが挙げられます。
・食品容器包装、レジ袋、ごみ収集袋
・非食品容器包装
・衣料繊維
・電機、情報機器
・自動車

生分解性プラスチックとは?

前述のとおり、通常のプラスチックと同様の耐久性を持ち、使用後は自然界に存在する微生物の働きで最終的にCO2と水にまで完全に分解されるプラスチックのことを指します。

 

バイオマスプラスチックの主要用途としては以下のようなものが挙げられます。
・農業、土木資材(マルチフィルム、燻蒸フィルム、獣害対策忌避ネット等)
・食品残差収集袋(堆肥化・メタンガス発行施設へ)
・食品容器包装

 

【参考】

日本バイオプラスチック協会 (閲覧日: 2021.7.20)

海外の再エネ証書(電力)

SBTやRE100の達成に使える 海外の再エネ電力証書について、よくあるご質問をまとめました。

※再エネ電力証書(電力そのものと切り離された「再エネ価値」)を追加購入することで、契約中の電力が非再エネであっても、再エネとして主張できる。再エネと主張する電力の排出量は0と計算でき、Scope2(他社から供給された電力、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)排出量を削減できる。

海外の再エネ電力証書にはどんなものがありますか?

代表的なものとして、欧州のGO(Guarantee of Origin)、北米のREC(Renewable Energy Certificate)、その他地域のI-REC(International Renewable Energy Certificate)があります。

出典:自然エネルギーの電力を増やす企業・自治体向け電力調達ガイドブック第3版

 上記はいずれも、どこでどの発電方法で作られたのかなどの電力に関する情報を電力そのものと結び付けてITで管理する「トラッキングシステム」に基づいて発行される証書で、CDPやSBTが準拠するGHGプロトコル(温室効果ガス排出量算定報告の事実上の国際基準)や、RE100において、代表的なものとして紹介されています。但し、GOやREC、I-RECといった名称は同じでも、証書が作られるシステムは国や地域ごとになっているため、証書購入時には、使用目的を伝え、その目的への使用に問題がないかを確認することを推奨します。

【参考】

・GO(Guarantee of Origin)

EUでは、加盟国に対して、消費者が発電方法などの電力に関する情報を把握できるようにするため、GO(Guarantee of Origin:原産地証明)システム(=トラッキングシステム)の構築を義務付けている。これらのシステム下で発行される証書。国際取引ができるよう共通化したEECSシステムもあり、主要国が参加している。

・REC(Renewable Energy Certificate)

北米では、電力会社に対する再エネ導入義務 :RPS(Renewable Portfolio standard)制度への利用などを目的として整備された州や地域ごとのトラッキングシステムが多数存在。それらの下で発行される証書。企業などの自主的取組にも使用される。

・I-REC(International Renewable Energy Certificate)

NGOであるThe I-REC Standardが、欧米のような再エネ証書やトラッキングシステムがない国に対して、GOやRECを参考とした国際水準のトラッキングシステム構築を支援。それらの下に発行される証書。

・「GHG Protocol Scope 2 Guidance」World Resources Institute(日本語訳:SLSV CES 研究所 温室効果ガス(GHG)スコープ2研究会)
Scope 2 Guidance | GHG Protocol

・「CDP Technical Note: Accounting of Scope 2 emissions」CDP Climate Change Questionnaire 2020

https://b8f65cb373b1b7b15feb-c70d8ead6ced550b4d987d7c03fcdd1d.ssl.cf3.rackcdn.com/cms/guidance_docs/pdfs/000/000/415/original/CDP-Accounting-of-Scope-2-Emissions.pdf?1479752807

・「RE100 Making credible renewable electricity usage claims」 RE100 Technical Advisory Group members(April 2016)

 

どうしたら購入できますか?

多くの場合、証書保有者(発電事業者など)との相対取引が中心と考えられます。また、購入時に証書が発行される制度上での口座開設が必要だったり、購入後に証書を使用する(再エネを主張する)ために必要な手続きがあったりすることも多いです。そこで便利なのがプロバイダーを介しての購入です。プロバイダーは一般的に、購入者のニーズに合った証書の調達から、証書を使用するために必要な手続きまでを代行します。

再エネ電力証書はストックできますか?

制度によっては使用期限が決まっている場合があります。また、GHGプロトコルでは証書の要件の一つとして、使用する時期とできるだけ近い時期に発行された証書を使用することを求めています。よって、CO2クレジットのように価格が低いタイミングでまとめて調達しストックしておくといったことは考えにくいです。

日本の工場の再エネ化のために海外の再エネ電力証書を使えますか?

GHGプロトコルでは証書の要件の一つとして、実際に電力を消費している市場と同じ市場内からの調達を求めています。市場とはすなわち、電力に関する法制度が一貫していたり、実際に電力網でつながっていたりする範囲です。欧州の一部や北米を除き、ほとんどの国では国境とイコールになります。よって、日本の工場の再エネ化のためには、日本国内で発行された再エネ電力証書を使う必要があります。

海外工場のScope1(燃焼の燃焼などによる自社の直接排出)排出量の削減に、海外の証書が使えますか?

再エネ電力証書は、他社から供給された電力が再エネであると主張することを可能にするものであり、Scope2(他社から供給された電力・熱の使用に伴う間接排出)の削減にはつながりますが、Scope1(燃料の燃焼などによる自社の直接排出)の削減にはつながりません。電力以外に熱を対象とした再エネ熱証書もあります。こちらも供給された熱が再エネであると主張することを可能とし、Scope2の削減につながります。(但しRE100は対象を電力に限定しているため、再エネ熱証書の使用はできません。)

CO2排出量計算

主に、カーボン・オフセットや製品・サービスの排出量算定で使える排出量計算について、よくあるご質問をまとめました。

企業のサプライチェーン排出量算定においても、基本的な考え方は共通ですが、他の算定方法や排出原単位が使える場合があります。算定にあたっては、環境省・経産省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」を参照ください。

自動車の利用に伴う排出量はどうやって計算するのですか?

自動車の利用に伴う排出量は以下の式から計算できます。

 

【燃料使用量が分かる場合】

自動車の利用に伴うGHG排出量(㎏-CO2)

= 燃料使用量(ℓ) × 単位発熱量(MJ/ℓ) ×GHG排出係数(㎏-CO2/ℓ)

 例えばガソリン車の場合、ガソリン使用量に、ガソリンの単位発熱量とGHG排出係数をかけて計算します。単位発熱量と排出係数は算定報告公表制度の値を利用します。

 

【燃料使用量が分からない場合】

自動車の利用に伴うGHG排出量(㎏-CO2)

= 走行距離(㎞) ÷ 燃費(㎞/ℓ) × 単位発熱量(MJ/ℓ) × GHG排出係数(㎏-CO2/ℓ)

 走行距離は、メーターの値や、カーナビや距離検索サイトで得られる2 地点間の距離を使用します。走行距離が把握できない場合、車両区分ごとの走行距離(実働1日1車あたりの走行距離)の標準値を使用する方法※もあります。

 燃費は一定期間の走行距離を同じ期間の燃料使用量で割って計算できます。また、車両区分ごとの燃費の標準値を使用する方法※もあります。単位発熱量と排出係数は算定報告公表制度の値を利用します。

 

※「カーボン・オフセットの対象活動から生じる温室効果ガス排出量の算定方法ガイドライン(Ver.2.0)」には、車両区分別の走行距離及び燃費標準値の計算結果が掲載されています。

 

【参照資料】

「カーボン・オフセットの対象活動から生じる温室効果ガス排出量の算定方法ガイドライン(Ver.2.0)」

http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset/guideline/guideline-cmghg.pdf

電車移動に伴う排出量はどうやって計算するのですか?

出発駅から到着駅まで、鉄道を利用する際の旅客 1 人当たりの排出量は以下の式から計算できます。

 

鉄道の利用に伴う旅客1人あたりのGHG排出量(㎏₋CO2)=

旅客移動距離(人・㎞) × 燃料消費率(kwh・MJ/人・㎞) × GHG 排出係数(㎏-CO2/kwh・MJ)

 旅客移動距離は、移動人数×利用する駅間の距離から計算します。駅間の距離は乗換検索サイトなどで検索します。

 燃料消費率は、鉄道で使用される電力及び軽油等の燃料消費のうち、旅客分を、旅客人㎞で割って算出される値です。「カーボン・オフセットの対象活動から生じる温室効果ガス排出量の算定方法ガイドライン(Ver.2.0)」には、主な鉄道会社別の燃料消費率、全国平均の燃料消費率の計算結果が掲載されています。

 GHG排出係数には、算定・報告・公表制度の排出係数を利用します。電力は、電気事業者別の排出係数が整備されているので、鉄道会社が電力供給を受けている電力会社の値を使用します。鉄道会社によっては複数の電力会社から電力供給を受けている場合もあります。その場合、代替値を使用します。

 なお、本来は乗車率によって燃費が変動しますが、上記算定式では考慮されていません。今後の検討課題とされています。

 

【参照資料】

「カーボン・オフセットの対象活動から生じる温室効果ガス排出量の算定方法ガイドライン(Ver.2.0)」

http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset/guideline/guideline-cmghg.pdf

グリーン電力証書

グリーン電力証書とは何ですか?

グリーン電力証書は、再生可能エネルギーから発電された電力のうち、環境価値のみを取引できるようにしたものです。環境価値は再エネ発電所から証書購入者へ移転され、購入者がその環境価値を主張することができます。使用する電力に対して証書を購入することで、その電気が再生可能エネルギーから発電した電力であるとみなすことができます。

証書発行の仕組は?

「グリーン電力証書システム」という認証制度の下、発行されます。具体的には、資源エネルギー庁のガイドラインに基づき第三者認証機関によって行われる審査を経て、証書発行事業者※により証書が発行されます。環境価値は、発電所所在地・発電種別・発電時期などのトレーサビリティーが確保された状態で管理されており、希望の種別、時期などを指定して購入できる仕組みになっています。

※グリーン電力証書を発行・販売できる事業者。2019年4月現在25社・団体が登録。

証書化できる対象は?

第三者認証機関から認定を受けた再生可能エネルギー発電設備(太陽光・風力・水力・地熱・バイオエネルギー)によって発電される電力が対象です。但し、固定価格買取制度(以下FIT)での売電分は、対象となりません。(FITで売電した電力の環境価値は、電力を使用する全ての国民に分配されることになるため。)

現状では、再エネ発電設備で発電される電力の多くはFITで売電されており、それ以外の自家消費分がグリーン電力証書化されるケースが多くなっています。

グリーン電力証書の活用用途にはどのようなものがありますか?

主に、以下の活用用途があります。

  1. 企業などにおいて、購入した証書分を再エネ電力量として主張する。
    (CDP質問書・RE100の進捗状況報告において再エネ電力量として報告可能。)
  2. 企業などにおいて、温対法の排出量調整でグリーン電力証書購入分と同等のCO2量をマイナスする。
    (但し、資源エネルギー庁および環境省が運営する「グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度」によりCO2削減相当量としての認証を取得する必要あり。)
  3. 企業などにおいて、東京都や埼玉県の排出量取引において、再エネクレジットとして自社のCO2排出削減義務量に充当する。
  4. 小売電気事業者において、顧客に販売する電気と同量のグリーン電力証書を組み合わせて「再エネ100%電力プラン」を提供する。

購入方法と必要な手続きについて教えてください。

証書発行事業者から購入が可能です。まず、希望の電力量や発電種別などを伝え見積を取得します。契約締結後、発電量・発電時期・発電方法などが書かれたグリーン電力証書が発行され、購入者は証書をもって再エネ電力量として主張できます。

海外工場の再エネ化にも使えますか?

再エネ証書は電力と同等であるため、同系統内のものを調達する必要があります。よって日本のグリーン電力証書は国内でのみ利用可能であり、海外工場用にはその系統内で発行されている再エネ証書を調達する必要があります。

再エネ発電由来J-クレジットとの違いは何ですか?

基本的な考え方が異なりますが、活用にあたってはあまり違いはないと考えていただいて良いかと思います。再エネ発電由来J-クレジットでも前掲のグリーン電力証書の活用用途の①②④が可能です。③はグリーン電力証書に限定されます。発電所所在地や種別、時期を限定しての購入にはグリーン電力証書がより便利です。

【参考:グリーン電力証書 V.S. J-クレジット 考え方の違い】

グリーン電力証書は再エネ発電量(FIT売電がある場合には売電量を除いた量)を計測し、その電力量(kWh)を取引します。それに対し、J-クレジットは「ベースライン&クレジット方式」と呼ばれ、排出削減事業が行われなかった場合に予想されるCO2排出量(ベースライン)と比べた時の排出削減量(t-CO2)を取引します。再エネ発電の場合、再エネで創出された電力と同量の電力が化石燃料で創出された場合に予想されるCO2排出量がベースラインとなり、そこから再エネ発電に伴うCO2排出量(発電に直接関わる排出量は基本0だが、設備稼働に係る電力や燃料の運搬にかかる燃料等の付随的な排出量も考慮する場合あり)をマイナスした分が排出削減量=J-クレジットとなります。

(但し、いずれもkWh→t-CO2、t-CO2→kWhへ換算する手続きがあります。)

 

【参考リンク】

ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社

グリーン電力証書特設ページ

コラム「CO2ゼロ・再エネ100%電力はどのように作られるのか?」

企業の水リスクへの取り組み

2018年に発生した西日本豪雨は岡山県を中心に中国・四国地方各地に様々な被害をもたらしました。また、昨年も豪雨による被害が日本各地で多発しました。一方、海外では、オーストラリアやインドをはじめ、各地で干ばつの被害が発生しています。地球温暖化により気候が変動すると、こうした自然災害が増加することが予想されています。その結果、水を豊かに使える地域と水不足の地域とで、1人当たりが使える水資源量の格差が世界的に大きくなる恐れがあると考えられています。
IPCCの第5次報告書では、気候変動の進行によって将来的にもたらされるリスクが主に8つ挙げられていますが、その中に豪雨・洪水、水不足といった水に関するリスクが含まれます。
このように水に関わる問題が生活や人命、企業活動に影響を及ぼし得る影響を水リスクといいます。

先述したような災害は多大な経済被害ももたらします。最近では水リスクが企業の財務に及ぼす影響について機関投資家の関心が高まっています。企業は事業を持続させるために、自社およびサプライヤーの水リスクを把握し投資家に向け情報開示していくことが求められています。

そこで、今回は水リスクについて一連の取り組みをQ&A形式で整理しました。なお、回答案の作成にあたっては、水リスク低減に関わるコンサルティングサービスを提供する八千代エンジニヤリング株式会社様にご協力いただきました。

水リスクとは何ですか? どのようなものがあるのですか?

水リスクは、経済発展に伴い水需要量が増加することで発生する地域の水資源の枯渇や、水質の悪化のような徐々に移行するリスクと、干ばつや洪水のような災害として突発的に発生するリスクがあります。

気候変動による降水量の変化はどちらのリスクにも影響を与える可能性があり、また「取水停止による減産」や「浸水による操業停止」といった物理的リスクや、水質汚濁による「罰則」「評判低下」といった、「規制リスク」や「評判リスク」などもあります。

水リスクは自社にどのように影響を及ぼしますか?

水リスクによる影響は自社やサプライヤーの拠点が位置する場所やどのように水を使用しているかによって異なります。
たとえば、飲料メーカーのような水を商品としている企業は、水資源が枯渇してしまうと事業が成り立たなくなります。また、製造業でも製品の洗浄に良質の水が必要な場合は、水質悪化により処理コストが増加するなどが考えられます。
また、そのような地域では、取水制限や水質汚濁に対する「罰則」、ステークホルダーからの「評判低下」といった「規制リスク」や「評判リスク」として影響が顕在化します。
干ばつや洪水による影響は、製造に使用する水が取水できなかったり、工場が浸水したりすることで減産や操業停止という形で影響します。

水リスクはどのように特定(評価)するのですか?

水リスクの特定は、上記で示したように「地域の水リスクの程度」と「水リスクが事業に与える影響」の二軸で考えることが重要です。
地域の水リスクの程度は、水需要と水資源のバランスや、洪水の発生可能性を評価します。
このような評価は、難しそうに見えますが、簡単に横並びで水リスクを把握できる、ウェブ上のツールもあります。
世界資源研究所(WRI)の運用するウェブサイト「AQUEDUCT」は、住所(もしくは緯度・経度)を入力するだ けで、初めて環境に取り組む担当者の方でも自社拠点の一般的な水リスクを見ることができます。

外部リンク:AQUEDUCT(WRI)

地域の水リスクが発生した場合に、事業へどのような影響が出るかを「水リスクが事業に与える影響」という軸で評価し、どちらも高い場合に水リスクが高いと判断します。

水リスクを評価した後は何をする必要がありますか?

水リスクの特徴は、上記で示したように水資源の枯渇や洪水など、複数のリスクがあり、それらが地域性を持っているということです。また、各リスクから受ける影響は事業により異なります。

そのため、水リスクを評価し、リスクがあると判断された拠点それぞれで対応するリスク項目や対策目標を整理し、対策の立案を行う必要があります。

水リスクの開示はどのように行いますか?

開示方法の代表例として、CDP水セキュリティの質問書対応があげられます。これは、CDPが投資家の声を反映して構築した水リスクに関する設問に対して、企業が取り組みを回答するものです。

一方で、MSCI(※1)やFTSE(※1)のESG Rating(※2)では、統合報告書や有価証券報告書の記載内容に基づいて評価しているため、これらの中での情報開示も重要となります。

※1 世界的な株価指標の一つ
※2 ESG 格付。非財務情報(ESG情報)を用いた企業の格付。

水リスクの情報開示や課題へ取り組む他社の事例はありますか?

企業の開示事例や取り組みや、世界の様々な地域での取り組み例やトレンドは、専用ウェブサイト「水リスクラボ」で紹介されていますので、ご参照ください。

外部リンク:水リスクラボ(https://www.yachiyo-eng.co.jp/water-risk/)

 

<参考(Q&A以外)>

Climate Change 2014 Impacts, Adaptation, and Vulnerability Part A:Global and Sectoral Aspects SPM(IPCC AR5 WG2)
https://www.ipcc.ch/site/assets/uploads/2018/02/WGIIAR5-PartA_FINAL.pdf

Q&Aは八千代エンジニヤリング様よりご提供いただきました。

CDP質問書

CDPとは何ですか?CDP質問書とは何ですか?

CDPとは英国に本拠地を置く国際環境NGOで、企業などの環境情報開示プログラムを複数運営しています。旧名をCarbon Disclosure Project(直訳すると炭素開示プロジェクト)と言い、当初は気候関連情報に特化していましたが、その後、水や森林といった他の環境情報にも対象範囲を広げています。

特徴的なのは投資家とタッグを組むスキームを展開していること。プログラムへの署名投資家を集め、彼らの要請を受ける形で、世界の上位企業に対し環境関連の取り組みに関する質問書への回答を要請します。これがCDP質問書です。各社の回答はスコア付けされた上で投資家の投資判断等に活用されます。

具体的にどのようなプログラムを運営しているのですか?

まず、環境分野別にCDP Climate change(気候変動)、CDP Water(水)、CDP Forest(森林)があります。その他、自治体の気候変動・水情報を扱うCDP City、サプライヤー企業の気候変動・水・森林情報を扱うCDP Supply chainがあります。(サプライチェーンプログラムでは、投資家ではなくプログラムに参加するサプライチェーン上流企業からの要請を受ける形で、参加企業のサプライヤーに対して質問書への回答要請が行われます。)

質問書の対象企業は?

プログラム毎に異なりますが、CDP Climate changeの場合、対象の日本企業は、ここ数年、FTSEジャパンインデックス該当企業を基本に、時価総額上位企業500社となっています。

回答率はどのくらいですか?

CDP Climate change(2017)の場合、日本の回答要請対象企業500社のうち283社が回答し、回答率は57%でした。

回答するとどうなるのですか?回答しないとどうなるのですか?

回答にはスコアが付けられCDPのウェブサイト上で公表されます(閲覧はユーザー登録者のみ可能)。
また、CDPが毎年発行するレポートにも各社の回答の一部とスコアが掲載され一般公開されます。(回答のみ投資家以外には非公表とすることも可能です。)回答しないとFスコア(次項ご参照)がつけられ、回答しなかったことがわかるようになっています。

スコアとは何ですか?

回答結果は質問毎に、Disclosure(情報開示)、Awareness(認識)、Management(管理)、Leadership(リーダーシップ)の4つの項目で採点されます。その後、合計得点によって8段階のスコアが付けられます。(上からA、A-、B、B-、C、C- 、D、D-。)回答しなかった場合にはF(Failure to provide sufficient data to CDP:十分な情報を提供していない)となります。

質問はどのくらいの頻度でくるのですか?

毎年1回回答要請がきて、直近1年間の実績として回答します。投資家スキームの場合、概ね、毎年1月頃に投資家による署名、2月頃に各社への回答要請、7月頃に回答締切、11月頃に回答結果・スコアの開示というサイクルが毎年行われています。

具体的にどのような質問項目があるのですか?

CDP Climate change(2018)を例に挙げると、主に、社内での管理体制や事業戦略などのマネジメントに関する質問、気候関連目標と進捗に関する質問、排出量に関する質問など、全部で15の大項目がありました。排出量はスコープ1(自社による直接排出量)、スコープ2(購入・消費したエネルギーによる間接排出量)、スコープ3(サプライチェーンでの排出量)の全てが対象になっています。

質問は英語ですか?回答は英語で行うのですか?

質問は英語ですが、CDP日本事務局によって日本語訳が提供されています。回答は英語でも日本語でも可能です。ただ、日本語で回答した場合、日本語のままCDPウェブサイト上に公表されますので、海外の投資家や取引先を意識される場合にはご注意ください。

非上場企業や中小企業には関係無いですか?

サプライチェーンプログラムではサプライヤーへ回答要請が行われますので、非上場企業や中小企業でも回答要請の対象となる場合があります。また、CDPのプログラムは現状世界で最も浸透している環境情報開示プラットフォームの一つと言え、自主的に環境情報開示を行いPRしたいという企業様にもご活用いただけるのではないかと思います。回答要請の対象企業になっていなくても、自主回答企業として申請し回答することが可能です。

他社の回答結果は見られますか?

CDPサイトでユーザー登録をすると閲覧可能です。

回答に費用はかかりますか?

2018年より投資家要請質問書への回答に対し、回答事務費用が設定されました。(サプライチェーンプログラムメンバーや初年度回答など一部除外対象があります。)(2018年回答要請時の情報であり、変更となる可能性があります。)

サプライチェーン排出量

Scope3で把握する項目が多すぎます。サプライチェーンでの排出量算定など本当にできるのでしょうか?

算定する項目は15のカテゴリに分類されています。また、ある程度簡易に算定する方法もあります。まずは全体を概算で把握して、排出量の多い箇所(ホットスポット)を特定します。その上で、目的に合わせ、部分的に細かく活動量を取得し、排出量を算定していくこともできます。

担当部署だけではScope3把握は難しいです。会社的な取り組みとしていきたいと考えていますが、どのようにして役員を説得すべきか悩んでいます。

企業が置かれている立場(会社的な規模・業種等)にもよりますが、CDP(※)回答企業においては回答率が年々上昇してきています。大企業ではサプライチェーンにおける環境・人権・ガバナンス等といった非財務情報を開示することがより求められています。そうした背景において投資家、またサプライヤーから排出量情報の開示を要求された場合、その要求に応えられないことが企業経営におけるリスクにもなり得ます。 そうした事業リスク・機会の把握のための一つの手段として、サプライチェーン排出量把握の必要性をご説明されてはいかがでしょうか?

※企業の気候変動、水、森林、サプライチェーン、都市等に関する対応取組の情報開示を要求するプログラムを運営する英国の環境格付機関。

電力やエネルギーの購入金額は分かるのですが、量を把握していません。排出量を算定することはできますか?

Scope1,2と呼ばれる事業活動にともなうエネルギー・電力の使用に関してはできる限り使用量ベースの値を把握することが望ましいです。使用量ベースで把握することで、排出量の削減努力を反映しやすくなります。SBTの認定や将来的な削減といった目的がある場合、データの収集の仕組み作りから取り組むことを推奨します。

ただし、どうしても取得が難しい、または全体における寄与率が小さい等の理由がある場合は、金額換算で算定することもあり得ます。

Scope1,2は省エネ法で報告している対象(事業所の燃料・電気)と同じでしょうか?

基本的には同じとなりますが、GHGプロトコル(※)上では海外拠点や移動源排出(営業車等)の燃料使用も対象となります。多くの企業で営業車の燃料を把握していないため、新たに、自社で所有する営業車のガソリン使用に伴う排出量等もScope1に計上する必要があります。

※温室効果ガス(GHG)排出量算定・報告の世界基準

カテゴリ1「購入した製品・サービス」とは何を算定すれば良いですか?

基本的には、当該企業が対象年度に購入したすべての製品・サービスを対象とする必要があります。購入した製品が製造される段階、またサービスが提供される段階での排出量を算定します。 具体的には、商品の原材料だけでなく、間接調達(事務用品の購入やソフトフェア等)も含めて算定対象となります。

カテゴリ1「購入した製品・サービス」の項目が多く大変です。すべての項目を洗い出す必要がありますか?

算定精度および網羅率について高い水準であることが望ましいですが、Scope3で要求する算定精度の基準は特にありません。目的に合わせ、算定対象とする項目を設定します。 例えば、排出量の割合が大きく、今後削減していく必要がある主原料についてはある程度細かい分類で取得し、それ以外については会計書類上の科目コードの分類で算定するなどの方法があります。

カテゴリ1「購入した製品・サービス」では排出量の算定で金額換算と重量換算のどちらを選べば良いですか?

重量換算の方が排出量は実態に近くなりますが、網羅的に把握するには金額換算の方が良い場合もあります。まずは取得しやすい方法で実施するか、目的に合わせて設定する必要があります。排出量の割合が大きく、今後排出削減を実施していく対象であれば、重量換算での把握が望ましいです。 なお、参考としてGHGプロトコルでは、排出量の算定手法を選定するためのデシジョンツリーを紹介しています。 例えば、その購入した製品・サービスが、排出量に重大な寄与をしており、サプライヤーエンゲージメント(サプライヤーとの協同での削減等)に関連していて、重量ベースでの把握ができ、サプライヤーの自社向けの商品製造時排出量を取得できる場合は、サプライヤー固有値(※)を使用します。 一方、排出量に重大な寄与をしておらず、重量での把握が難しい場合は金額換算での算定をすることになります。

※サプライヤー固有の対象製品の原料調達から製品出荷までの排出量

Scope3のカテゴリ3「エネルギー関連活動」とは何ですか? Scope1,2とはどう違うのですか?

Scope1,2では化石燃料の燃焼時(使用時)の温室効果ガス排出量を算定します。一方、Scope3カテゴリ3においては、化石燃料(例:石炭等)が採掘され、輸送されまでに排出される温室効果ガスを算定します。

物流が複雑すぎて、どうしたらよいか分かりません。

まずは現状の把握が必要です。実態に合わせて物流のシナリオを作成する方法、また省エネ法の特定荷主(※)での届け出を行っている場合は、その値を使用することができます。 輸送のシナリオを検討する際は、トンキロ法での算定の場合、輸送重量・輸送距離・輸送手段(車両、積載率)などを把握する必要があります。 輸送距離や手段については、カーボン・フットプリントの輸送シナリオ(例:原材料の国内輸送は10tトラックで500㎞片道輸送、積載率50%)といった考え方を適用することもできます。

※事業者全体のエネルギー使用量(原油換算値)が合計して1,500kL/年度以上である場合に該当

輸送重量が把握できません。どうしたらいいでしょうか?

輸送時の金額のみ把握が可能であれば、金額換算で排出量を算定する方法もあります。また調達品の金額と輸送の金額を切り離すことが難しい場合、カテゴリ1の算定時に、輸送を含めた排出原単位で算定することで、調達および製造の排出量(カテゴリ1とカテゴリ4)を一緒に算定することもできます。

Scope3の把握にどのくらいの工数がかかるものでしょうか?

どの活動を算定対象とするか? 対象活動のどの項目を拾うか? を整理する段階、また活動量の取得先との調整に時間がかかる場合が多いです。会社規模にもよりますが、おおよそ3か月~6か月程度かかります。

CO2 1トン・1キロはどのくらい?

CO2 1トン・1キロはどのくらい?

私たちが普段吸っている空気に存在する二酸化炭素(CO2)。これは見ることも手に取ることもできないため、なかなか身近に存在するものとしては実感しづらいと思います。例えばCO2排出量を1トン削減したとしても、それがどのくらいの規模、あるいは重さなのかが直感的に分かりにくいのです。

そこで、CO2 1t、1kgがどのくらいの規模なのかを私たちの身の回りにあるものでわかりやすく換算しました!

例えば、CO2 1トンはクロサイの体重とほぼ同じくらい、日本人が1年に排出するCO2のおよそ半分くらいなど、身近なもので例えることで、より理解しやすくなると思います!

 

CO2 1トン 杉の木約71本が1年間に吸収するCO2量に相当
  家族4人で東京-長崎を往復したときの排出量に相当
  日本人1人あたりの年間CO2排出量の約半分
  サイ(クロサイ)の体重とおなじくらい
  半径約5mの風船の体積
  25mプールひとつ分の体積
CO2 1キログラム 500mlペットボトル約1,000本分の体積と同じくらい
  自動車で3.6km走った時のCO2排出量と同じくらい
  ドラム式洗濯乾燥機 洗濯~乾燥 1.3回分
  テレビを20時間みたのと同じくらい
  人間が1日に吐き出すCO2排出量と同じくらい
  4人家族が使用する水道約5日分
  電気自動車で18.5km走った時のCO2排出量と同じくらい
  自動販売機が1日に排出するCO2と同じくらい
  ノートパソコン約243時間使用したのと同じくらい
  エアコン約4時間使用したのと同じくらい
  ドライヤー使用10回分
  新生紙(A4サイズ)約438枚分

図:conet_co2_kansan_rev1
計算根拠:c-conet_co2_keisan_konkyo_rev1

 

CO2排出量とは

CO2排出量のはかり方とはどのようなものですか?

CO2計算はカロリー計算と似ています。

 カロリー計算カロリー計算

内容量 重量 係数 カロリー
200g 168kcal/100g 336kcal
鶏もも肉 100g 204kcal/100g 204kcal
ごぼう 50g 65kcal/100g 32.5kcal
鶏卵 50g 151kcal/100g 75.5kcal
合計     648kcal

係数出典:日本食品標準成分表

CO2計算CO2計算

内容量 重量 係数 カロリー
200g 1.59g-CO2/g 318g-CO2
鶏もも肉 100g 1.23g-CO2/g 123g-CO2
ごぼう 50g 0.23g-CO2/g 11.5g-CO2
鶏卵 50g 1.07g-CO2/g 53.5g-CO2
容器 50g 2.64g-CO2/g 132g-CO2
合計     638g-CO2

係数出典:カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム

利用可能なLCAソフトウェア・データベースにはどのようなものがありますか?

利用可能なLCAソフトウェアには以下のようなものがあります。

SimaPro

SimaProは世界で最も広く使われているLCAソフトウェアであり、オランダの環境コンサルタントPRe Consultants社が開発、1990年初版リリースされました。
解析結果を様々な切り口でグラフ化し表示することが可能です。
欧州中心に3万を超えるプロセスのインベントリーデータを搭載しています。

SimaPro 8はその最新版で、欧州フットプリント、ウォーターフットプリントに対応しています。
Ecoinvent(網羅性の高い欧州のインベントリーデータベース)は最新版v.3.を搭載しています。

SimaPro 8
IDEA

IDEAは産業技術総合研究所、産業環境管理協会によって共同開発された、純国産のLCIデータベースです。
日本のLCIデータ、日本の統計情報を基に、日本の全産業を可能な限り細かい解像度でモデル化することを目的として開発・編纂されており、日本標準商品分類を基にした3800位上のプロセスを網羅しています。

IDEA v2はその最新版となります。

IDEA v2

排出権権利化(J-クレジット)

Jクレジットにはどんな種類がありますか?

現在流通しているクレジットには、2013年3月に終了したクレジット制度で創出されたもの(J-VER、国内クレジット等)と、現在運用されているクレジット制度で創出されたもの(J-クレジット、京都メカニズムクレジット等)とがあります。

クレジットの記号にはどんな意味がありますか?

シリアル番号の先頭にくるアルファベットのことを指します。制度記号でクレジット種類を判断することができます。J-クレジットは「JC」、「JCL」、国内クレジットは「KC」、「KCL」、J-VERは「JP」、新潟県J-VERは「NIG」、高知県J-VERは「KOC」より始まります。

移転と無効化の違いは何ですか?

移転とは、J-クレジット登録簿上でJ-クレジットの保有者を変更することです。無効化とは、J-クレジット登録簿上でJ-クレジットを無効化口座に移転し、オフセット等で使用するクレジットの再販売・再使用ができないよう無効にすることを指します。

無効化にはどのくらい期間がかかりますか?

毎週木曜日(祝日の場合は前営業日)の17時30分にその週の申請を締め切り、
翌週最初の営業日又はその次の営業日に無効化処理が行われます。郵送物の到着時間にご注意ください。

クレジットのシリアル番号からプロジェクトを探せますか?

シリアル番号の情報のみでは、プロジェクトを探すことは出来ません。

森林(緑地等)を保有しています。CO2吸収量をクレジット化できますか?

J-クレジット制度の方法論FO-001に「森林経営活動」というものがありますが、この方法論の適応条件に合致すればCO2吸収量をクレジット化できる可能性があります。
具体的には、対象地での適切で計画的な間伐整備等が必要です。(※市町村長等の認定を受けている森林経営計画又は森林施業計画沿った実施)
また追加性の観点から、プロジェクト実施地における林業の収益が、経費(補助金等を抜いた額)より小さいことなどが求められます。
その他詳しい適応条件についてはJ-クレジット制度HPよりご確認ください。

木の樹齢や樹種によってCO2吸収量は違いますか?

樹齢や樹種によってCO2吸収量は異なります。一般的に針葉樹(杉、ヒノキ等)の方広葉樹(クヌギ、ブナ等)より成長が早く炭素吸収量が多くなっています。

再生可能エネルギー(太陽光)の発電をしている場合、クレジット化できますか?

再生可能エネルギーに発電量のうち“自家消費”している分のみクレジット化ができます。
FIT(固定価格買取制度)にて売電している電力は対象となりません。

廃棄物由来の燃料を使ってエネルギーをつくっています。クレジット化できますか?

J-クレジット制度の方法論EN-S-019 「廃棄物由来燃料による化石燃料又は系統電力の代替」というものがありますが、この方法論の適応条件に合致すればCO2吸収量をクレジット化できる可能性があります。
ただし、未利用の廃棄物であること、廃棄物の燃料としての規格について明確である等の条件があります。
(容器・包装類については容器・包装リサイクル法の観点から対象とならない等)
その他詳しい適応条件についてはJ-クレジット制度HPをご確認ください。

コンポストを導入して廃棄物のたい肥化を進めています。クレジット化できますか?

現在、廃棄物のたい肥化については、方法論WA-002「食品廃棄物等の埋立から堆肥化への処分方法の変更」という方法論があります。
食品廃棄物で、かつ埋立からたい肥化で処理方法を変更している場合にクレジット化できる可能性があります。

会社で節電や省エネ等の運用改善をしてCO2を削減しています。クレジット化できますか?

基本的には節電や省エネ等の運用改善は対象となりません。追加性の観点から設備導入を伴う取り組みが対象となります。ただし、一部IT導入や効率化によってのCO2削減量のクレジット化が認められている方法論もあります。詳しくは以下クレジット制度基本的には節電や省エネ等の運用改善は対象となりません。追加性の観点から設備導入を伴う取り組みが対象となります。ただし、一部IT導入や効率化によってのCO2削減量のクレジット化が認められている方法論もあります。詳しくは以下J-クレジット制度HPの方法論をご確認ください。